2011 Fiscal Year Annual Research Report
慣性静電閉じ込めプラズマ中の球状集束ビーム衝突核融合反応機構の解明
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22686011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 開 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (80303907)
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Keywords | プラズマ / イオンビーム / 核融合 / 慣性静電閉じ込め / 空間電荷効果 / マグネトロン放電 / 核融合反応計測 / 放電シミュレーション |
Research Abstract |
本年度は以下の3項目を実施した。なお、以下の(d)(e)(f)などの記号は、応募時の研究計画・方法に記載の実施項目区分。 (d)中心陰極外の電位分布の改善により陰極中心でのイオン密度を向上させることを目的とし、電位分布の球対称性を格段に向上させてイオン軌道を改善することのできる5段分割型電圧導入端子を完成させ、実験装置に導入し、所期の性能を有することを実験的に示すことができた。また、併せて、数十kVの負電位にある陰極内部のプラズマ電位計測を目的とする、中心陰極内側に挿入可能なプローブ計測システムの開発に着手した。当初年度計画以上の成果の得られた実施項目(e)に注力するため、年度内の完成には至らなかったが、計画全体としては遅れておらず、むしろ計画以上に進展していると考えている。 (e)大電流での実験を可能として,電流への非線形依存性を利用した核融合反応率の向上を図ると共に,より空間電荷効果が顕著となると予想される動作領域での実験を可能とすることを目的に,本提案新方式IECの特徴である環状イオン源の大電流化の研究を進めた。年度当初予定していた数値解析コードを用いた設計、次年度の大電流化実験で使用する油中絶縁仕様の3段分割型導入端子の製作に加えて、既設環状イオン源への熱電子源の設置による予備実験を行い、この方法でイオン電流を効果的に増加させることが可能であることを実験的にも示せた。 (f)本研究では、核融合反応率の電流依存性の1乗から2乗への遷移を支配しているメカニズムを理解し、本新方式IEC装置においてのみ見られたこの新奇な非線形依存性を利用して何処までの核融合反応率向上が得られるのかの予測を示すことを最終目標としている。そのため、本年度は昨年度製作した核融合反応陽子計測装置を用いた核融合反応空間密度分布計測と、これまで開発してきた数値解析コードによる解析を進めて、実験・解析データの蓄積を行うとともに、実験と解析の比較を通じて必要なコード改良を進めてモデルの高度化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験パラメータを拡大することができるイオン源の大電流化に期待以上の成果が得られたため、これに注力するために並行して進めている計測技術開発にやや遅れが生じたが、計画全体としては遅れておらず、むしろ計画以上に進展していると考えている。また、やはり並行して計画している数値解析コードの開発と実験結果解析については、計画通り順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの2年間、並行して実施している各項目によっては2-3ヶ月程度の遅れや前倒しはあるが、全体としては応募当初の年次計画通りに進行している。次年度以降も、研究計画の変更はなく、当初計画通りに進める。
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