2011 Fiscal Year Annual Research Report
自己き裂治癒の応用によるセラミックスの転がり疲労強度向上
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22686013
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
高橋 宏治 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (90334630)
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Keywords | セラミックス / 転動疲労強度 / 自己き裂治ゆ / ショットピーニング / 破壊靱性値 / 圧縮残留応力 |
Research Abstract |
本研究の目的は,自己き裂治癒を応用してセラミックスの転がり疲労特性を低コストで大幅に向上させることである.この目的を達成するために,申請者らが開発した優れた自己き裂治癒能力と機械的特性を併せ持つセラミックスを供試材とし,き裂治癒材の転がり疲労強度特性を系統的に解明する.さらに,ショットピーニング(以降SP)と自己き裂治癒を併用することにより,セラミックスの転がり疲労強度を大幅に向上させる新しい手法を提案する.具体的な検討項目は,(a)転がり疲労強度特性が優れた材料の決定,(b)転がり疲労強度特性に及ぼすき裂治癒効果の解明,(c)SPとき裂治癒の併用によるセラミックスの転がり疲労強度向上手法の開発である. 本年度は,窒化ケイ素・炭化ケイ素複合材および窒化ケイ素単体を供試材として,ショットピーニングおよびき裂治癒が転動疲労強度に及ぼす影響を検討した.その結果,以下の成果が得られた. (1)ショットピーニングによる圧縮残留応力の導入により,上記2種類の材料において,転動疲労強度は大幅に向上した. (3)表面観察の結果より,SPにより圧縮残留応力が導入されることによって,見かけの破壊靱性値が大幅に向上し,転動疲労の際に剥離損傷の原因となるき裂進展が抑制されたためと考えられる. (3)材料表面に表面き裂が存在する場合には,ショットピーニングを行うことでそれらのき裂からの破壊を助長させる場合があった.しかし,それらのき裂を治癒した後にショットピーニングをすることで,高い転動疲労強度が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ショットピーニングとき裂治癒のそれぞれが転動疲労強度向上に及ぼす影響が明らかになっているため,当初の予定通り,研究はおおむね順調に進展していると自己評価しています.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって,2種類に材料において,ショットピーニングとき裂治癒のそれぞれが転動疲労強度向上に及ぼす影響が明らかになってきている.今後は,さらに多くの材料において,ショットピーニングとき裂治癒が転動疲労強度に及ぼす影響を明らかにする.現時点では,ショットピーニングとき裂治癒の組合せの効果が未解明であるため,最終年度はこれらの効果の解明を目指す.
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