2011 Fiscal Year Annual Research Report
In-situ軟X線集光ミラー形状修正システムの構築
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22686017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三村 秀和 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30362651)
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Keywords | X線ミラー / 軟X線 / ナノ精度 / 形状修正 |
Research Abstract |
回転楕円型X線集光ミラーは、X線を色収差なく、高効率に集光可能であることから、様々なX線分析技術の性能向上に寄与する。しかしながら、必要な形状精度が高いこと、形状が非球面形状であることから、実用に供するミラーは実現していない。本研究では、高精度回転楕円型X線ミラー作製のための形状加工、形状転写、形状計測システムの開発を目指している。 平成23年度の研究項目(1)の2次元位相回復法による形状算出プログラムの改善では、鋭利なナイフエッジを集光点近傍に挿入し、複数の散乱パターンを利用するタイコグラフィー法を導入した。本手法を用いた位相回復シミュレータを開発し、計算によりその実現可能性を見出した。レーザーを用いた位相回復による波面計測システムを構築した。研究項目(2)の軟X線用ミラー作製では、回転楕円集光ミラーの作製プロセスの開発を進めた。EEMに基づくマンドレル加工装置と電鋳装置の開発を行った。EEM加工装置の開発では、2種類の新型EEMノズルの開発を行い100μmレベルの分解能での数値制御加工を可能にし、かつ複雑なマンドレル形状への対応を可能にした。電鋳装置の開発では、スルファミン酸ニッケル溶液を用い、精密なpHと電位制御により、常温化の電析において内部応力がほぼゼロに近い析出条件を見出した。その結果、表面粗さにおいて0.2nm(RMS)を達成し光学素子の表面として利用可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画どおり、軟X線用の回転楕円集光ミラー作製のための、加工、計測、転写装置の準備が整い、軟X線集光ミラーの試作が可能となった。しかしながら、当該年度の作製を軟X線ミラーの作製を予定していたが、作製できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
軟X線を使用しての評価は、SPring-8などの光源を所有しているグループとの共同研究が不可欠であり、光源の状況に大きく作用される。そのため、本研究では、レーザー光源による形状評価を構築し、シミュレータによる性能予測を行うことで、軟X線光源を使用しなくても作製したX線ミラーの定量的な性能評価を行う体制を今後整えていく。
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