2010 Fiscal Year Annual Research Report
燃料電池ナノ・マイクロ多孔場における高分解能「その場」計測と物質輸送学への展開
Project/Area Number |
22686022
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
津島 将司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30323794)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / ナノ・マイクロ工学 / 物質輸送 / 可視化計測 |
Research Abstract |
本年度は,固体高分子形燃料電池(PEFC)電極のナノ・マイクロ多孔場の形成過程と構造決定因子について明らかにするために,電極作製時の白金担持カーボン,電解質アイオノマー,溶媒の混合比が電極構造に及ぼす影響について検討を行った.電極のナノ・マイクロ構造については,イオンビームを用いたクロスポリッシャ(CP,断面切断研磨)により二次元断面を作製した上で電子顕微鏡観察を行い,電極厚さはカーボン含有量から決定され,カーボン粒子が形成する空隙内にアイオノマーが充填されることで電極の空隙率が決定されることを明らかにした.さらに,作製した電極構造とPEFC発電特性について調べ,カーボンとアイオノマーの比が1:3の場合,PEFC性能が著しく阻害されることを示した.その要因を調べるために,カソード酸化剤として,酸素と空気を用いた発電実験を行い,アイオノマー含有量が増大すると電極細孔内を閉塞するために,酸素輸送パス形成が阻害されてPEFC性能低下をもたらしたことを明らかにした.電極内の電子輸送パスについては,電気化学電子間力顕微鏡(EC-AFM)を用いて,触媒層断面方向のミクロ領域の透過電流量を計測する技術の開発を行った.モデル電極の作製においては,触媒層断面の機械的研磨ならびにイオンビームによる断面切断研磨の適用可能性について検討を行った.その上で,モデル電極断面についてEC-AFM計測を実施し,アイオノマー量が75wt%以上になると透過電流が計測されなくなり,触媒層の導電特性が著しく低下することを明らかにした.
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