2012 Fiscal Year Annual Research Report
燃料電池ナノ・マイクロ多孔場における高分解能「その場」計測と物質輸送学への展開
Project/Area Number |
22686022
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
津島 将司 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30323794)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / ナノ・マイクロ工学 / 物質輸送 / 可視化計測 |
Research Abstract |
燃料電池ナノ・マイクロ多孔場の構造形成因子と電池性能の相関の解明を目的として,電極材料である白金担持カーボンに加えて,白金非担持カーボンを新たに混合することにより,電極触媒量,電極厚さ,電極空隙率を独立に制御した燃料電池ナノ・マイクロ多孔場を構築する手法を提案し,実証を行った.その際,窒素吸着測定による細孔分布計測から電極多孔構造のバルク評価を行い,提案した手法により作製した電極のナノ・マイクロ細孔構造は,通常の燃料電池電極と同様となるように制御可能であることを示した.その上で,作製したナノ・マイクロ多孔電極について,電極触媒量を一定として,電極厚さを変化させた場合についてのセル性能変化について考察を行った.燃料電池の運転条件として,供給ガスの相対湿度を変化させ,さらに,酸化剤として,通常の空気供給に加えて,純酸素供給の場合についてもセル性能の評価を行い,分子とイオン輸送の観点から比較を行った.その結果,触媒層の薄膜化がプロトン伝導抵抗の低減に寄与することを示した.一方,電極厚さを一定として,電極触媒量を変化させた場合には,低白金触媒層では反応物質の白金までの局所的なフラックス増加と白金周囲での水分生成量増加に伴う局所的なフラッディングの影響により性能が低下することが示された.さらに,燃料電池ナノ・マイクロ多孔電極が多層構造であることに着目し,多層構造平滑断面をイオンビームにより取得し,電子顕微鏡(SEM)による可視化を行い,ナノ・マイクロ細孔の空間構造の把握を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
燃料電池ナノ・マイクロ多孔場における,反応ガス(水素,酸素),生成水,電子,イオン(プロトン)の輸送現象の基礎的解明に向けて,多孔場形成の支配因子の解明と制御手法の確立が進み,電池性能と輸送現象の相関について基礎的に明らかになってきたことから,着実に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
燃料電池ナノ・マイクロ多孔場における,反応ガス(水素,酸素),生成水,電子,イオン(プロトン)の輸送現象の基礎的解明を目的として,材料合成・デバイス化プロセスが物質輸送パス(イオンチャンネルや空隙構造)の形成にどのような影響を及ぼすのかについて物質輸送学的な考察を行い,ナノ・マイクロ多孔場における輸送現象を多孔構造と輸送パス形成過程を含めて,基礎的に明らかにする.
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