2013 Fiscal Year Annual Research Report
燃料電池ナノ・マイクロ多孔場における高分解能「その場」計測と物質輸送学への展開
Project/Area Number |
22686022
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
津島 将司 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30323794)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 固体高分子形燃料電池 / ナノ・マイクロ工学 / 物質輸送 / 可視化計測 |
Research Abstract |
燃料電池ナノ・マイクロ多孔場の構造制御と電池性能への影響の解明を目的として,多孔質電極内におけるマイクロクラック形成過程の基礎的解明と発電性能へ及ぼす影響について検討を実施した.燃料電池の運転時における乾湿サイクルによって触媒層と微細孔層内に生じるクラックとして,各層に対して鉛直方向に形成されるクラックと触媒層・微細孔層界面の剥離によって形成される面方向のクラックの2種類が存在することを明らかにした.加えて,乾湿サイクル後には大幅な発電性能低下が観察されたことから,触媒層・微細孔層界面の面方向クラックに滞留した液体水が酸素輸送を大幅に阻害する可能性があることを指摘し,同時に電子輸送に及ぼす影響についても考察を加えた.さらに,燃料電池ナノ・マイクロ多孔質電極作製時における触媒インク乾燥工程に着目し,触媒インクのNV値(触媒インク全質量に対する固体成分質量の割合),および乾燥工程における雰囲気湿度を変化させクラック構造の違いを観察した.その結果,触媒インクのNV値が小さい(NV=0.05)と触媒層中に形成されるクラックは小さく,NV値が大きくなる(NV=0.15)と比較的大きなクラックが偏在することが示された.また,雰囲気湿度50%においてはクラック形成が抑制されるが,雰囲気湿度10%と80%ではクラック形成が促進され,これらの乾燥条件で作製された触媒層について濃度過電圧が低減されたことから,燃料電池ナノ・マイクロ多孔場内のクラックが液体水輸送経路として機能していることが明らかになった.これらの知見を総合して,燃料電池ナノ・マイクロ多孔場の構造形成と電池性能について,物質輸送学の観点から検討を行い,触媒インクの粘性,基材との親和性に加えて,溶媒成分の蒸発と固体成分の拡散を考慮して,燃料電池ナノ・マイクロ多孔場において厚さ方向と面方向に空間分布が形成される機構の提案を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|