2011 Fiscal Year Annual Research Report
光熱変換イメージングによるサブナノ粒子検出識別システムの開発
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22686027
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
水谷 康弘 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (40374152)
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Keywords | 光熱変換イメージング / ナノ粒子 / 微細周期構造 / 干渉計 / 磁性体 |
Research Abstract |
本研究の目的は,光学的にサブナノ粒子を遠隔操作するシステムを開発することである.サブナノ粒子を遠隔操作するシステムには,サブナノ粒子観察系とサブナノ粒子操作系が必要である.サブナノ粒子観察系では光エネルギを熱エネルギに変換する光熱変換効果を利用する.具体的には,高強度レーザ(YAG,二倍波,2W)を照射することにより生じるサブナノ粒子の光熱変換効果を利用する,熱変換効果により温度が上昇したサブナノ粒子からは周囲の媒質中に熱が放出される.放出された熱により温度が上昇した媒質の屈折率はわずかに変化する.この屈折率が変化する領域は100nm程度の大きさになるため顕微鏡等により検出することができる.しかしながら,屈折率の変化は微小であるため高S/N比の検出法が必要となる.ここでは,位相検出に着目し,位相の二次元分布が可能な計測システムを作製する.また,サブナノ粒子を捕捉するために静磁場による反発力とエバネッセント場による光放射圧を用いる.具体的には,500nmのスリットが入ったプレパラートを作製し赤外光(波長980nm)を入射させることでエバネッセント場を形成する.このエバネッセント場を利用することで多数のサブナノ粒子を効率的に捕捉できる.これまでに,数値計算(FDTD法)により微細周期構造の形状パラメータについて検討した.その結果,強度の強いエバネッセント場を形成する構造の条件を見いだした.また,作製した微細構造を用いて,粒径21nmの金γ三酸化二鉄粒子の捕捉に成功した.さらに,磁場による反発力である磁気浮上を捕捉に利用できるようになっている.一方で,当初申請していた計画から新たな機能が必要となり,単一のナノ粒子を検出できるようにするために,干渉計の導入を検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたとおり,エバネッセント場発生のための微細構造を検討および作製し,ナノ粒子の捕捉や検出が可能になっているためである.また,磁場の粒子への影響も検討が終了しているので概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
研究の問題点はないが,単一ナノ粒子を検出できるようにすることも新たな目的として加わった.単一ナノ粒子の検出が可能になると生体顕微鏡等への応用が容易になる.これは,光熱変換効果を利用する手法があるが,当初計画のとおり現在作製しているシステムは光熱変換効果を容易に引き起こせるので,発展させることは難しくなく干渉計測と組み合わせることで対応している.
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