2011 Fiscal Year Annual Research Report
低炭素消費型社会に貢献するマイクロ・ナノスマート電荷センサの開発
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22686030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
熊田 亜紀子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20313009)
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Keywords | 電気機器 / 低炭素社会 / 電荷センサ |
Research Abstract |
昨年度に完成させた1ns以下の時間分解能、3mmの空間分解能をもった電気光学センサを用いて沿面放電進展時の空間電荷分布を測定した。測定は、放電のエネルギー(放電電圧、放電電流)、誘電体の固有容量、ガス種(SF6,空気、N2)を変化させた種々の条件下で行った。沿面ストリーマ進展時及び、ストリーマからリーダに転換に至る時点における電荷分布、発光分布に焦点を当て計測を行った。平行して、流体モデルによるストリーマ放電進展シミュレーションを行い、測定結果と比較することでシミュレーションの妥当性の検証を行った。本シミュレーションモデルで、今まで明らかでなかったストリーマ進展、停止機構がよく説明できることができた。 平行して、アレイ型静電容量型表面電位プローブと、その信号出力を取り出す集積回路(以下、信号変換集積回路と略記)とを一体構造で作成したチップセンサ(以下、空間電荷分布計測MEMSセンサと略記)のプロトタイプを試作し周辺電源回路の設計、組み立てを行った。その結果、プロトタイプは耐電圧が当初の設計よりも低く、放電直接測定が難しいことがわかった。次年度においては、空間電荷分布計測MEMSセンサの改良設計・試作を行言う予定である。 空間電荷分布計測MEMSセンサの耐圧を測定と平行して、マイクロメータスケールの沿面ギャップにおける大気圧空気中沿面放電現象の測定を行った。その結果、マイクロメータスケールの沿面ギャップにおいては、ギャップ距離が、電子の平均自由行程以下となり、真空中の放電に近い特性を示すことを示唆する知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の開発項目である(1)電気光学センサの開発及び(2)沿面放電進展機構の解明という点については、当初の計画以上に進展しているが、(3)空間電荷分布計測MEMSセンサの開発については、試作機の耐圧が設計値より低いなど予期せぬ支障があり、やや進展が遅れているため、研究全体でみれば、「おおむね順調」に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までにおいて、沿面放電進展時の変化をとらえられるだけの時間分解能(1ns以下)を持った測定システム、及び放電内部の様子を探ることができる空間分解能(3ミクロン)を持った電気光学センサを開発してきた。引き続き、本システムを用いて各種環境下における沿面放電の空間電荷微細構造を測定する。平行して、サブミクロンオーダに空間分解能が達する電荷分布MEMSセンサの開発、マイクロギャップの沿面放電現象の測定を行う。
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Research Products
(8 results)