2010 Fiscal Year Annual Research Report
シリサイド半導体ひずみ超格子によるバンド構造の能動的制御
Project/Area Number |
22686032
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺井 慶和 大阪大学, 工学研究科, 講師 (90360049)
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Keywords | 鉄シリサイド / シリサイド半導体 / シリコンオプトエレクトロニクス / 分子線エピタキシー法 / エピタキシャル成長 / 変調分光法 / フォトリフレクタンス |
Research Abstract |
シリサイド半導体β-FeSi_2は、近赤外の波長領域で受・発光機能を示す新規シリコン光エレクトロニクス材料と位置づけられる。本研究では、ひずみによりβ-FeSi_2のバンド構造を制御することで、受・発光機能の高機能化を目的としている。今年度は実施計画の研究を遂行し、下記の研究成果を得た。 1.Si基板上のGe添加β-FeSi_2エピタキシャル膜の作製と基礎物性評価 本研究では、β-FeSi_2エピタキシャル膜へGeを添加し、Ge濃度によるひずみ制御を目指している。そこで、本年度は分子線エピタキシー(MBE)法を用いてGe添加β-FeSi_2成長条件の探索を行った。その結果、Siの供給量が実効的に少なくなる成長条件下で、Si基板上へのGe添加β-FeSi_2のエピタキシャル成長が可能であることを見出した。今後は、精密にGe濃度を制御することでβ-FeSi_2中のひずみが制御できると期待でき、実施計画通りに研究を遂行していく。 2.低残留キャリア濃度β-FeSi_2エピタキシャル膜の作製と電気特性評価 β-FeSi_2を光学素子として機能させるには、キャリア濃度の低いβ-FeSi_2エピタキシャル膜の作製が必要不可欠である。そこで、実施計画を追加し、キャリア濃度の支配因子の解明と、キャリア濃度の減少を目的とした研究を行った。その結果、室温における電子濃度(n_e)と電子移動度(μ_e)がそれぞれn_e=4-8×10^<16>cm^<-3>、μ_e=400-441cm^2/Vsを示すβ-FeSi_2の作製に成功した。この電子濃度は、従来の報告値より1-2桁も低減しており、Fe原料中の不純物であるP,Asを低減することで、更なる低キャリア濃度化が可能であることをはじめて明らかにした。
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