2012 Fiscal Year Annual Research Report
シリサイド半導体ひずみ超格子によるバンド構造の能動的制御
Project/Area Number |
22686032
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺井 慶和 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (90360049)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 鉄シリサイド / シリサイド半導体 / シリコンオプトエレクトロニクス / 分子線エピタキシー / エピタキシャル成長 / 変調分光法 / フォトリフレクタンス |
Research Abstract |
シリサイド半導体β-FeSi_2は、近赤外の波長領域で受・発光機能を示す新規シリコン光エレクトロニクス材料と位置づけられる。本研究では、能動的にひずみを導入しβ-FeSi_2のバンド構造を制御することで、受・発光機能の高機能化を目的としている。今年度はひずみ導入層となるGe添加β-FeSi_2(β-Fe(Si_<1-x>Ge_x)_2)に対し実施計画を遂行し、下記の研究成果を得た。 1.β-Fe(Si_<1-x>.Ge_x)_2のエピタキシャル成長と構造及びひずみの評価 Si低供給比および基板温度500℃の低温成長条件において、Si基板上のβ-Fe(Si_<1-x>Ge_x)_2エピタキシャル成長が可能であることを明らかにした。Ge濃度を変化させた結果、Ge濃度が約11%までエピタキシャル成長可能であることを確認した。XRDよりGe濃度に伴う格子定数の増大を確認し、またラマン分光測定ではGe添加量増加に伴うラマンシフトを確認した。これらの結果は、β-Fe(Si_<1-x>Ge_x)_2層がひずみ導入層として機能することを示しており、研究のねらい通りの成果が得られた。また、Ge添加量の増大に伴うバンドギャップのシフトも観測しており、β-Fe(Si_<1-x>Ge_x)_2はβ-FeSi_2の混晶材料として機能することをはじめた明らかにした。今後はβ-Fe(Sii_<1-x>Ge_2)2/Siひずみ超格子におけるひずみ評価を行い、研究目的の検証を行っている予定である。 2.無添加β-FeSi_2における電気特性の伝導方位依存性の評価 本研究で作製した高品質β-FeSi_2薄膜において、真性の電気特性が観測できるようになった。今年度はSi(001)およびSi(111)基板上に成長したβ-FeSi_2薄膜で電気伝導評価を行った。その結果、β-FeSi_2の伝導方位に依存して電気伝導機構が変化することを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ge添加β-FeSi_2のエピタキシャル成長に成功し、格子定数、ラマンシフト、バンドギャップ変化の検証からひずみ導入層として機能することを明らかにした。当初の研究計画通り遂行し、β-FeSi_2/Siひずみ超格子におけるひずみ導入量と光学特性の検証を行うことにより、目的が達成されると期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
おおむね研究計画通り進行しており、当初の計画通り今後も遂行していく。
|