2011 Fiscal Year Annual Research Report
テラビット無線伝送を実現するスケーラブルRFチップの研究
Project/Area Number |
22686037
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 健一 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (70361772)
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Keywords | ミリ波 / CMOS / 無線通信 / 高周波回路 / スケーラブル / Digital RF |
Research Abstract |
将来1Tbps級の超高速無線システムを動作させるために必要不可欠なスケーラブルRFチップの基盤技術の研究を行った。Digital RF技術により、2020年のCMOS 14nm世代以降も有効な無線スケーリングの技術体系を構築することを目的とした。実際に65nm CMOSプロセスを用いてLSIチップを試作し、60GHz帯の無線送受信回路および100GHz以上での動作を前提とする要素回路技術を開発した。Digital RF技術の確立に向け、無線システムの主要構成回路である電圧制御発振器VCO・低雑音増幅器LNA・電力増幅器PA・周波数混合器Mixerにおける雑音特性、利得、線形性、面積、消費電力の性能限界について、トランジスタや配線の性能のスケーリングと、回路方式の両面から検討を行なった。実際に65nmのCMOSプロセスで実装して理論を検証した。CMOSトランジスタの遮断周波数とキャリア周波数との関係から最大で得られるSN比に限界があることを明らかにした。また、発振器の位相雑音特性は受動素子性能から決まり、高周波化にともなう受動素子の性能劣化は物理的に不可避な問題である。高周波化にともなう位相雑音劣化の問題を回避するため、注入同期現象を用いた発振器を考案した。低周波での発振信号を注入同期により周波数変換し、キャリア周波数において低位相雑音かつ広帯域な信号生成を可能とした。これらの技術を組合せ、ミリ波帯無線機で世界最速となる10Gbpsの無線伝送速度を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、将来1Tbps級の超高速無線システムを動作させるために必要不可欠なスケーラブルRFチップの基盤技術の研究を行った。具体的な目標としては、実際に65nm CMOSプロセスを用いてLSIチップを試作し、60GHz帯の無線送受信回路および100GHz以上での動作を前提とする要素回路技術を開発することである。Digital RF技術の確立に向け、無線システムの主要構成回路である電圧制御発振器VCO・低雑音増幅器LNA・電力増幅器PA・周波数混合器Mixerにおける雑音特性、利得、線形性、面積、消費電力の性能限界について、トランジスタや配線の性能のスケーリングと、回路方式の両面から検討を行った。実際に65nmのCMOSプロセスで実装して理論を検証した。ミリ波帯無線機の実現にあたり、大きな課題点の一つとして、発振器の位相雑音特性がある。発振器の位相雑音特性は受動素子性能から決まり、高周波化にともなう受動素子の性能劣化は物理的に不可避な問題である。高周波化にともなう位相雑音劣化の問題を回避するため、注入同期現象を用いた発振器を考案した。低周波での発振信号を注入同期により周波数変換し、キャリア周波数において低位相雑音かつ広帯域な信号生成を可能とした。これらの技術を組合せ、ミリ波帯無線機で世界最速となる10Gbpsの無線伝送速度を実現した。研究の達成度として、最終目標の40Gbpsに対し、10Gbpsを既に実現している。方式としては40Gbpsが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、実際に65nm CMOSプロセスを用いてLSIチップを試作し、60GHz帯の無線送受信回路において40Gbpsの無線伝送速度を実現することが目標である。これまでに、位相雑音の改善技術、高周波化へのスケーラブル技術、高利得化技術を実現している。それらを組み上げた60GHz帯無線機をCMOSチップとして実現し、最終目標の40Gbpsに対し、10Gbpsの無線伝送速度を達成している。方式としては40Gbpsの実現が可能であり、次年度は実機として実装し、提案技術の有効性を検証する。
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Research Products
(79 results)