2011 Fiscal Year Annual Research Report
高次元人工神経回路による生体信号同定学習のためのカオティックダイナミクス整合
Project/Area Number |
22686038
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
坪根 正 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (50334694)
|
Keywords | ニューロン / 同定学習 / カオス |
Research Abstract |
本研究では,これまでに研究代表者が行ってきたロボットが自律的に環境・行動を獲得するシステムの研究(H19-21,科研費若手A)や,生体信号を利用した学習システムの研究(H18-19,科研費基盤A)をもとに,脳波等の生体信号を利用しかつ生体に習った制御・学習システムの実現へ発展させることを目的としている.そのためには,現状よりも高機能な生体と機械をつなぐインターフェイスが必要であり,従来技術を凌駕する萌芽的着想が必須であった.本研究はその着想をより高いフェーズへ新展開するものである.代表者は先行研究において高次元スパイキングニューロンの合成や解析に関する成果をあげ,カオティックダイナミクス整合を利用した学習・制御システムも実現していた.前年度までに,スパイキングニューロンのための学習システムの構築に取り組み,オンボードでの回路実現に向けた生体信号の同定学習および,生体信号利用の学習・制御システムの設計を行った.具体的には,高次元スパイキングニューロンを基にした同定学習システムへ,カオティックダイナミクス整合のアルゴリズムを導入したシステム構成の提案を行いその有効性を示していた.昨年度は,その成果を更に発展させ連続時間信号に対する安定なカオティックダイナミクス整合手法を提案した.その手法を汎用なプログラマルボードによって実装し,回路実験からスパイキングニューロンのための学習制御の有効性を示すことに成功した,また,高次システムの安定性解析ための理論構築を進めて制御ゲインを設計するための系統的な手法を提案することが出来た.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定通り,本研究の最も重要な部分であるカオティックダイナミクス整合手法に基づいた学習制御手法のオンボード実装を実現し,実証実験によって有効性を示すことは達成した.想定していたフィードバック手法とは異なるものであるが,生体信号のような多様なスパイク列に対応できる方法であり実験的に有効性を示すことが出来ているので問題ない.また,学術的にも重要である安定性にたいする理論構築に関しては予定通りの成果を上げることが出来,順調に進展している.
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的には,当初予定通りハードウェア化を念頭においた実験および解析を進めることで目標達成可能である.昨年度までの成果によりプログラマブルなボードによる実装が実現され,実験的な検証が可能になったため,引き続き進めることで目標を達成できる.また,想定していた制御法とは異なる新しい手法も開発することが出来たので,この知見を応用してシステムの改良も進めることが出来る.想定していた制御法とは異なるダイナミクスであるため,大域的な検証を行うためには当初計画とは異なるアプローチが必要である可能性があるが,前年度に購入したクラスタ計算機を利用した最適化によって最適パラメータの設計や解析を行うことで解決できると思われる.
|