2012 Fiscal Year Annual Research Report
走行車両の応答のみを用いた橋梁のモード特性推定に関する研究
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22686043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大島 義信 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10362451)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 橋梁振動 / 損傷検知 / 車両応答 |
Research Abstract |
本年度では,車両応答から橋梁の損傷推定を行う確認実験として,模型車両の走行実験により各橋梁状態における車両の卓越振動数の発生頻度をの比較を行った.実験では,加速度計を搭載した模型車両を各状態の模型橋梁上を400回ずつ走行させた.橋梁の状態としては,通常時を健全,橋梁の支承損傷を仮定し,橋梁の支承端部をボルト締めしたケースを損傷①,主桁上の損傷を仮定し,主桁上に重りを載せたケースを損傷②と定義した. 波形解析に用いたデータは,模型車両が模型橋梁の主桁上を通過した時間帯を用いており,サンプリング周波数は500Hzに設定してある.また,今回の検討で用いる振動データは,最も橋梁の振動の影響が大きくなると推測される橋梁中央部の振動に着目するため,Hanningの窓関数を掛け合わせる処理をしたものを用いている.実験の結果,ARMAモデルの推定による橋梁側,車両側の各固有値の頻度分布は,損傷状態によってピークと形状が変化している事が確認できる.特に,固有振動数に大きな変化が生じた損傷①においては,その傾向が顕著である.よって,橋梁側においては,卓越振動数の発生頻度に着目する事で,橋梁の状態の変化を見出す事が可能であると言える.一方,車両側においては,橋梁の状態の違いによる各固有値の分布のピークと形状の変化は,橋梁側と比較して微小であった.次に, 橋梁の状態の変化による車両側の卓越振動数の分布の変化を明確にするため,各分布を正規分布と仮定し,平均値,分散,尖度の指標を算出した.その結果,分布の平均値においては,損傷①と損傷②においても1に近い値を取り,健全時との変化はほとんど見られない事,分散と尖度においては,どちらの損傷においても1から離れた値を取っており,橋梁の状態による指標の変化が平均値と比較して大きくなる傾向が見受けられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
車両応答から橋梁の固有振動数等を推定することは可能となったが,提案理論では精度上の限界があり,車両応答から損傷を同定するまでのプロセスに限界があることが明らかとなった.そのため,新たにロバストな方法を提案するために時間を有した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初目標であったモード推定については,精度上の限界があることが明らかとなったが,模型橋梁を利用した実験により,より大きなデータを扱うことが可能となり,統計処理が可能となった.そのため,今後はデータに基づく統計処理の方法へと新たな展開を進めたい
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Research Products
(4 results)