2010 Fiscal Year Annual Research Report
衛星及びXバンドMPレーダによる観測情報を用いた統合的データ同化手法の開発
Project/Area Number |
22686045
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷口 健司 金沢大学, 環境デザイン学系, 特任助教 (20422321)
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Keywords | 降水予測 / 衛星観測 / データ同化 / 雲微物理 / レーダ観測 |
Research Abstract |
本研究では,衛星観測データを活用した雲微物理データ同化手法の高度化と,XバンドMPレーダによる観測情報を用いたデータ同化手法の開発に取り組む. 科学研究費補助金「複数の衛星観測データの統合的活用による雲微物理データ同化手法の開発(H20~H21,代表・谷口健司)」において,従来定数としていた雲頂高度を変化させることで同化結果に顕著な影響がみられ,適切な雲頂高度情報による同化結果の改善が示唆された.そこで,平成22年度においては雲頂高度情報の改善による雲微物理衛星データ同化手法の高度化に取り組んだ.MTSATによる観測輝度温度と気象庁によるラジオゾンデ観測データから雲頂高度の推定を行い,得られた雲頂高度分布を用いて同化を行った結果,従来の定数より雲頂が高い領域では雲水量に感度を持つ89GHz輝度温度で改善され,水蒸気に感度を持つ23GHzでは誤差が拡大した.現在の同化手法では,雲層では相対湿度が100%になるように水蒸気量を定義するが,気温によっては実際の水蒸気量との誤差が拡大する可能性があるためと考えられる.雲が低い領域では23GHzで改善がみられ,89GHzで誤差が拡大した.低い雲頂高度や雲が無い場合には,現在の手法では雲水量をゼロとするが,実際には完全にはゼロではなく,それが誤差の原因と考えられる.これらについては,水蒸気量及び雲水量の鉛直配分手法の改善が必要である.同化結果を用いた降水予測では,同化後の予測再開直後にスピンダウンがみられ,同化なしの場合よりも誤差が多く見られた.この点については,水蒸気量及び雲水量に加えて,他の物理量の修正も必要と考えられる. XバンドMPレーダによる観測データの同化については,領域気象モデルとの空間解像度の違いや,空間的な誤差相関考慮のために観測データを間引くにあたり,観測データの空間解像度の変更手法を検討し,最近隣法が,詳細な観測による極値情報が損なわれなく比較的良好であるとの結果を得た.
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Research Products
(2 results)