2010 Fiscal Year Annual Research Report
飛来塩分評価技術の高度化に向けた海岸構造物での海塩粒子生成モデルの開発
Project/Area Number |
22686047
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山城 賢 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (70336014)
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Keywords | 飛来塩分 / 海岸構造物 / 海塩粒子 / 海水飛沫 / 波の打上げ |
Research Abstract |
暴風暴浪時には,波が防波堤等の海岸構造物に衝突し大量の海水飛沫が発生する.発生した飛沫のうち,微小な飛沫(海塩粒子)は風に運ばれ陸域に拡散し広範囲に塩害をもたらす.本研究では,沿岸部における飛来塩分量の高精度な評価技術の開発に資するため,海岸構造物に波が作用して発生する飛来塩分量のモデル化を目指している. これを実現するため平成22年度は,小型の断面2次元造波風洞水路(長さ28m,高さ0.5m,幅0.3m)を使用し,波と風の条件に応じた飛沫の打上げ規模(打上げ高さ,打上げ水量など)の発生頻度を解明するための水理模型実験を行った.構造物は過去に現地観測を実施した直立防波堤を対象とし,縮尺1/70で模型を作成した.実験では,防波堤模型の前面に蛍光トレーサーを混入し,グリーンレーザーシートを照射して,流体の動きをデジタル高速度カメラで撮影する可視化実験を行った.防波堤の壁面に沿って打ち上がる波の速度は速いため,撮影は秒間400コマで行った.撮影した画像をもとに,画像解析により防波堤の高さを越えて打ち上がる水の速度や量,また,打ち上がりの高さなどを計測した.この画像解析による計測手法は,風洞水路内に計測機器を設置しないため,風や波に影響を与えずに計測できる利点がある.ただし,解析精度が撮影画像の質に大きく影響を受けるため,波高と周期が一定の規則波を対象に,計測精度の検証と可視化や撮影方法等の改善を繰り返し行った.計測手法の検証の後,種々の不規則波と風を同時に作用させる本実験を実施し,一波毎の波高と周期が異なる不規則波について,撮影画像から一波毎の打上げ規模を計測した.この実験の結果,飛沫の打上げ高さ等について,波と風の条件に応じた出現頻度分布を把握でき,本研究の目的である海岸構造物で生じる飛来塩分のモデル化に繋がる成果が得られた.
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