2011 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌由来糖鎖を活用したノロウイルスの水環境中動態解明に関する研究
Project/Area Number |
22686049
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐野 大輔 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80550368)
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Keywords | ノロウイルス / 腸内細菌 / 組織血液型決定抗原 / 水環境中動態 / 糖鎖 / 特異的結合 / ELISA / 免疫TEM |
Research Abstract |
本研究は,全世界で多大な被害を出しているノロウイルスに関し,その水環境中動態に大きな影響を与えると考えられるノロウイルス吸着性ヒト腸内細菌に着目し,その存在の証明と吸着部位の同定を行うことを第一の目的としている.平成23年度(研究2年度目)においては,まずヒトふん便から分離した組織血液型決定抗原(Histo-blood group antigen:HBGA)様多糖を細胞表層に有する菌株を同定した.その結果, Enterobacter sp.に属する株であることを確認し,Enterobacter sp. SENG-6と名付けた.また透過型電子顕微鏡によりSENG-6とノロウイルス様粒子(Norovirus-like particle:NoVLP)の結合様式を観察したところ,NoVLPは菌体表面ではなく細胞外物質(Extracellular polymeric substances:EPS)に吸着していることが確認された.またEPSを含む菌体の超薄切片を作成して抗HBGA抗体を用いた免疫TEMを行ったところ,HBGA様物質はEPS中に存在することが観察された.そこでSENG-6からEPSを抽出し,NoVLPとの吸着特性をELISA法により評価した.その結果,SENG-6由来EPSはGI7,GII.3,GII.4及びGII.6の各遺伝子型のNoVLPをよく吸着することが示された.以上の結果は,ヒトノロウイルス粒子が特定のヒト腸内細菌が産生するEPSに特異的に吸着可能であることを示しており,ノロウイルス吸着性ヒト腸内細菌の存在証明に成功したものと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的の1つであったノロウイルス吸着性ヒト腸内細菌の存在証明に成功したことから,その後の研究を計画通りに進めることが可能な状態にあるため.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,計画通りに研究を遂行する予定である.
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