2010 Fiscal Year Annual Research Report
鋼部材のリユースに対応した地震応答低減機能を有する床構造システムの開発
Project/Area Number |
22686051
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
聲高 裕治 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (80343234)
|
Keywords | 床構造 / 粘弾性体 / リユース / 剛床 / 時刻歴応答解析 / 地震応答 / 地震入力エネルギー |
Research Abstract |
本研究は,床スラブと梁の間に粘弾性体を挿入することによって,骨組の地震応答を低減させることを意図した新たな床構造システムを提案するものである.当該年度では,1層鋼構造骨組を対象とし,1.エネルギーの釣合に基づく地震応答の予測方法を提案すること,ならびに2.床組の面内変形を無視した場合と考慮した場合の地震応答を比較・考察することを目的としている. まず,上記1.については,床構造システムと骨組を別々の質点系に分解した解析モデルを構築し,それぞれの系において減衰によって消散されるエネルギーと弾性歪エネルギーの比率を既往の研究に基づいて与えた上で,減衰によって消散されるエネルギーの総和と擬似速度応答スペクトルから推定される地震入力エネルギーを等置することによって,骨組や粘弾性体の最大応答を算出する方法を提案した.提案した予測方法に基づく計算結果と時刻歴応答解析結果を比較した結果,骨組が弾性範囲であれば両者は良い対応を示しているが,骨組が塑性化すると両者の差が大きくなることがわかった.この原因としては,提案した予測法において骨組と粘弾性体の変形の比を弾性1次モードで与えていること,塑性化後に最大振幅を正負2回履歴すると仮定していることが該当する. 次に,上記2.については,床組の面内変形を考慮した解析モデルを既往の知見に基づいて構築し,各構面の層せん断剛性の比率・各構面の粘弾性体の貼付面積の比率・粘弾性体の形状係数などの広範なパラメータに対する時刻歴応答解析を実施した.その結果,各構面の層せん断剛性の差が大きくなるに伴って,層せん断剛性が大きな構面の最大層間変形が減少し,粘弾性体の最大せん断変形が増加すること,また,各構面の粘弾性体の貼付面積の差が大きくなるに伴って,粘弾性体の貼付面積の大きい構面の最大層間変形が増加し,粘弾性体の最大せん断変形が減少することが明らかになった.
|
Research Products
(3 results)