2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22686056
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉岡 陽介 千葉大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00361444)
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Keywords | 周辺視 / 中心視 / ヘッドマウントディスプレイ / 眼球運動 / ヴァーチャルリアリテ / 制限視野 |
Research Abstract |
本研究は、探索歩行時の空間把握における中心視と周辺視の協応関係の解明を目的とする。そのための第一段階として今年度は、周辺視野機能の定量計測が可能な実験システムの開発を行った。システムの根幹は広視野角ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を改造したもので、その下部に両眼の眼球運動を抽出するためのデバイスを取り付けている。コンピュータ上で作成した仮想空間映像に、眼球運動に同調して動く暗点を乗算し、出来上がった映像を、網膜上で実空間と同じ像を結ぶように数理変換し、HMD内に投影する。暗点の位置や大きさを調節することによって、たとえば常に中心視野だけを制限したり、あるいは下半の周辺視野だけを制限したりといったことが自在にできる。この実験システムによって視野のいろいろな部分を制限し、そのときに生じる被験者の行動の変化を観察することで制限された視野の部分が本来担っていた役割を推察する。この方法を用いることで、これまで不可能であった、中心視と周辺視それぞれの視覚機能の精査、特に二つの視覚機能の協応関係についての定量的な分析が可能となる。 システムの開発にあたっては、まずHMDとそれぞれの部材の組上げを精密に行い、プログラムレベルでの整合をとることからはじめた。特に眼球運動抽出に関してはHMD映像上でキャリブレーションを行うプログラムを独自に作成する必要があった。次いで、システム全体を調整しながら被験者実験により基礎的なデータを収集した。実験装置を装着した被験者に様々な試験指標を提示し、明るさや色、形状に対する応答精度を測定した。
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