2011 Fiscal Year Annual Research Report
高電流密度・高起電圧を有するマグネシウムイオン二次電池開発へ向けた正極材料の研究
Project/Area Number |
22686064
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市坪 哲 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40324826)
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Keywords | Mgイオン電池 / 蓄電池 / 多価イオン電池 / 正極材料 / 負極材料 / 電解液 |
Research Abstract |
本申請研究では,新しい二次電池として,いまだ未開発で発展途上の研究領域である2価イオンをキャリアとする二次電池「マグネシウムイオン電池」に着目し,その開発のための基礎研究を行っている.本研究では,リチウムイオン電池の正極における遷移金属の価数変動を利用する機構を,マグネシウム酸化物系に適用することにより,放電時の主反応として(正極)2xMO2+xMg2++2xe→MgM2O4(M=Co,Feなど)(負極)xMg→xMg2++2xeなる電極反応を利用した高電流密度・高起電圧を有する新たな二次電池「マグネシウムイオン電池」のための正極材料開発とモデル電池の試作を試みた.Mgイオン電池の実現化のためには,マグネシウム複合酸化物中でのマグネシウムイオン伝導性が高いことが重要であり,また起電圧がリチウムイオン電池に匹敵することが重要である.そこで本研究では,インターカレーション方式の正極材料活物質の種々の作製を逆共沈法によって行い,共沈速度などを制御することにより粒子サイズや形状を制御することを試みた.また,A1などの異なる価数を有するイオンのドーピングなども行った.これらの成果はまだ研究途中段階である.これまでの傾向としては,ドーピングなどを行なってサンプルにおいても,やはり粒子径が大きい場合には,拡散速度が遅いことがあり放電や充電の速度がリチウムイオン電池に比べはるかに遅いことがわかった.現在はその点を考慮して,酸化物活物質のナノ粒子や薄膜作製に研究方針を向けている.また,異なるタイプの正極材料,すなわち,フッ化物系や酸化物系のコンバージョンタイプなどの開発も同時に並行して行なっている.また,更に,負極の不動態化の問題を克服すべく,これまで用いてきたアセトニトリル系の電解液以外にグリニャール試薬の検討なども行った.
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