2011 Fiscal Year Annual Research Report
窒化窒化クロムの元素置換による正方晶化:要因解明と超高硬度材料の新規合成
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22686069
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 常生 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (00313560)
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Keywords | 酸窒化クロム / 硬質薄膜 / 超高真空 / エピタキシャル成長 |
Research Abstract |
金属の切削加工は、もの作りの重要な基本工程の1つである。この工程に使われるドリルやエンドミル等の切削工具には、極めて硬い材料が薄膜としてコーティングされている。本研究でターゲットにしてきたCr(N,O)および第3元素Meを添加した(Cr,Me)(N,O)を作製した。ここでMeは、現在、Mg,Al,Si,Zn,Vなどである。基本となるCr(N,O)の作製は、金属Crにパルスレーザーを照射することによりアブレーションプラズマを発生させ、対向位置に設置した基板に700℃で堆積させた。以前の研究では、アンモニアガスとチャンバーへのリーク酸素を利用していたために、Cr(N,O)の酸素量の制御が非常に困難であった。そこで、新しく導入した超高真空用成膜チャンバーを使用し、チャンバー内を1E-6Pa以下の超高真空まで排気した後、1E-5Pa程度まで酸素を導入し、さらにRFラジカル源を用いて窒素をプラズマ化させて、1E-2Pa程度とした。導入する酸素量を調整することにより、作製するCr(N,O)薄膜の酸素量を精密に制御することが可能となった。窒素と酸素の組成が同程度のCr(N,O)薄膜を作製するためには、極めて低い酸素分圧が不可欠であることを突き止めた。CrNにOが固溶していくと、格子定数が減少することも判明した。作製したCr(N,O)薄膜は、結晶質であるが、結晶粒が微細である点に加えて、各結晶粒で酸素含有量に揺らぎがあることが疑われた。そこで格子定数が近いMgO基板を用いて、Cr(N,O)薄膜をエピタキシャル成長させることを試みた。エピタキシャル成長させた大きな結晶粒のCr(N,O)薄膜は、精密な結晶構造の判定や耐酸化性メカニズムの解明に大きく貢献する。期間の後半では、エピタキシャル成長させるための成膜条件の設定に努めた。現時点で、目的のCr(N,O)薄膜が1枚作製できた段階であり、解析等を来年度に持ち越すこととなった。また(Cr,Mg)(N,O)の作製にも成功した上、その基本となるが作製の困難が予想された酸素を含まない(Cr,Mg)N薄膜の作製にも成功したことを付記しておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていた(Cr,Mg)(N,O)薄膜の作製には成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
正方晶化の判定は、微結晶の薄膜では非常に難しいことが判明したため、エピタキシャル成長させ結晶粒の大きな薄膜で検証を行うこととした。
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Research Products
(6 results)