2012 Fiscal Year Annual Research Report
窒化クロムの元素置換による正方晶化:要因解明と超高硬度材料の新規合成
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22686069
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 常生 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00313560)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 酸窒化クロム / 硬質薄膜 / 超高真空 / エピタキシャル成長 / 酸化挙動 / 精密酸素量制御 / レーザーアブレーション |
Research Abstract |
酸素含有量を精密制御して作製したCr(N,O)薄膜の組成分析の結果、O含有量の増加に従いCr濃度の低下が見られ、金属元素と非金属元素の比は、2:3つまりCr2O3に近づく事が確認できた。以前のCr(N,O)薄膜は結晶粒が数十nmと非常に微細であるために、種々の評価が困難であった。このため格子定数が近いMgO基板を用いて単結晶に近いCr(N,O)薄膜を作製した。X線回折のφスキャンは90度毎にピークが出現しており、高分解能透過電子顕微鏡観察では基板に対して格子縞が連続していることから、薄膜がエピタキシャル成長していることを確認した。基板拘束による若干の正方晶化は見られるものの、基本的に岩塩型構造であった。これら組成分析と構造評価の結果より、Crサイト空孔の存在が示唆された。ただし、制限視野電子線回折にて2倍の超格子が確認できた試料も存在し、空孔による原子配列の秩序化の可能性が浮上した。Cr(N,O)薄膜の電気伝導性は酸素含有量の増加に伴い、電気伝導性が低下した。電子相関によるd電子の局在化と考えられる。局在化は、当初の予想であるヤーン・テラー効果の発現を期待させるが、Cr空孔の存在はヤーン・テラー効果の発現を否定する要因である。過去に見られた正方晶化は、秩序化等の構造起因である可能性が浮上してきた。多結晶Cr(N,O)薄膜の酸化挙動は、系外から供給された酸素が粒界拡散によりCr(N,O)を酸化させるモデルが考えられていたが、粒界が極めて少ないエピタキシャル膜で評価した結果、酸素はCr(N,O)結晶粒内を拡散していることが判明し、結晶粒内の酸素量が増加しても岩塩型を維持していた。構造を維持した固溶限内での酸素量の増加は、高硬度化に直結することから、Cr(N,O)は、高温の酸化雰囲気中で材料自らが高硬度化するインテリジェントマテリアルと捉えられることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)