2011 Fiscal Year Annual Research Report
光学CTマイクロフォンを用いた超音速ジェット騒音の3次元高解像音源探査
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22686078
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
荒木 幹也 群馬大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70344926)
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Keywords | ジェット騒音 / 音源探査 / 非接触計測 / CT / シュリーレン / 騒音低減 |
Research Abstract |
超音速ジェット騒音低減法の開発において,「音源」の「位置」と「規模」を正確に把握することが必須の課題である.しかしながら「流れの中」にある音源の探査は容易ではない.従来のマイクロフォンを流れに挿入するだけでは,流れを乱し新たな騒音を発生してしまうことになるためである.そこで本研究では,「音」の計測に「光」を用いる.「音」は圧力の変動であり,場の密度も同時に変動する.この密度変動を,光の屈折により検出する.ただし,ここで得られる情報は音響場を透過してきた信号であり,光路上の全ての変化の積分値が計測される.その内部構造は不明のままである.ここにさらに,医療分野で多用される「CT技術」を融合することで,ジェット騒音源を「高空間分解能」で「非接触」に「3次元断層可視化」する「光学CTマイクロフォン」開発を行ってきた. 平成23年度は,非軸対称音響場の可視化を目論み,超音速ジェットエンジンで研究が進められているエアロスパイクノズルを供試した.異なる角度からレーザビームを透過する機構を採用し,また非軸対称場の内部構造を再構成する多変数問題アルゴリズムを開発・改良した.この結果,(i)1mmオーダという極めて高い空間分解能で音響場の断層像を再構成することに成功した.また(ii)周波数分離による音源探査を行い周波数ごとの音源の位置と規模を特定することに成功した.これにより,速度勾配の大きな領域に主要な音源があることが見出され,これをもとに新たな騒音低減法開発を開始した.具体的には,速度勾配を制御するための気体噴射を行うもので,一定の騒音低減効果があることが確認されている.「光学CTマイクロフォン」により,これまで不可能であった音源の直接可視化が可能となり,それにより騒音低減デバイス開発に大きな進展が与えられるという良好なサイクルが構築されつつある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時に掲げた「非軸対称場における高解像可視化」技術が確立し,実際の騒音低減デバイス開発に応用可能となった.このことは「光学CTマイクロフォン」の開発意図が実現したということを意味しており,極めて大きな進展と考えている.一方,交付申請時に掲げた「流れの構造と騒音放射との因果関係を詳細に調査する」点については議論が不十分なままであり,平成24年度に引き続き研究を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
光学CTマイクロフォンを用いることで高解像音源探査が実現可能であることが証明されつつある.これにより騒音低減デバイス開発に弾みがつき,工学的興味の観点から大きな成果が得られたと考えている.今後は,「流れの構造(音源の振舞い)と騒音放射の因果関係」という,より理学的な見地からの研究推進が必要と考えている.このことは,騒音発生メカニズムの解明,数値シミュレーションへの基礎データ提供に大きく貢献するものと考えている.
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Research Products
(2 results)