2010 Fiscal Year Annual Research Report
損傷船舶の波浪中動揺シミュレーション開発と高度損傷時復原性評価法の構築
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22686081
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 博公 大阪大学, 工学研究科, 助教 (30397731)
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Keywords | 損傷時復原性 / 転覆・沈没シミュレーション / 粒子法(MPS法) / 損傷区画内滞留水 / 損傷模型実験 / 浸水時間予測 / 動的連成解法 / 衝突・座礁 |
Research Abstract |
衝突や座礁により損傷した船舶においては、残存性(転覆・沈没に至らない)の確保が極めて重要であるが、損傷口からの浸水を伴う強非線形・過渡現象である損傷船舶の運動シミュレーションは容易ではない。本研究では、粒子法のひとつであるMPS法(Moving Particle Semi-implicit method)による損傷区画の滞留水影響を含めた流体力計算とストリップ法による非損傷区画の流体力計算を組み合わせることで、損傷船舶の動揺シミュレーションを開発した。 本シミュレーションで最も重要となる損傷区画に働く流体力の推定精度検証のため、2次元損傷船体模型を用いた強制横揺れ試験を実施し、損傷船体に働く流体力と区画内滞留水の時間変化を計測した。この実験結果とMPS法による数値計算結果を比較し、損傷口からの海水の流出入や滞留水の大変形を伴う場合においても、MPS法は実用的な精度での流体力推定が可能であることを確認した。 次に自由動揺時に働く流体力の推定精度を検証するため、強制動揺試験と同様の2次元模型を用いた非損傷状態での自由横揺れ試験および損傷状態での自由動揺試験を実施した。MPS法により求めた流体力に基づく2次元平面での船体運動シミュレーションは自由横揺れ試験結果を精度良く再現できるが、液体のみを解くMPS法では区画内に溜まった空気の影響が大きい損傷時の自由動揺試験結果を再現できないことが判明した。 MPS法の基本アルゴリズムを変更することなく簡便に閉じ込められた空気の影響を考慮するため、ボイルの法則に基づき時間変動する圧縮空気圧を損傷区画内部の自由表面粒子に与える手法を導入した結果、損傷口からの浸水を伴う損傷船舶の動的挙動を再現することが可能となった。
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Research Products
(1 results)