2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ塑性ひずみ発生に基づく疲労き裂発生・伝播寿命予測システムの確立
Project/Area Number |
22686082
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堤 成一郎 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (70344702)
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Keywords | 疲労 / 繰返し塑性 / 巨視的弾性 / 弾塑性 / ダメージ / 構成式 / 結晶塑性 / 繰返し軟化 |
Research Abstract |
これまで開発を行なってきた現象論的・弾塑性構成式を拡張し,一般に広くモデルが適用されている巨視的塑性・応力下に適用範囲を限定されず,巨視的弾性繰返し応力下で計測される疲労現象の予測精度の向上に努めるとともに,巨視的弾性条件下での塑性ひずみ発生挙動および塑性ひずみ顕在化のメカニズムの解明を目的として,bcc材料を対象とした結晶塑性FE解析を行った。また,巨視的弾性を含む任意の繰返し応力下での疲労き裂の発生と,その後の伝播挙動を予測可能な寿命推定システムの確立を目的として,巨視的降伏以前の応力状態で発生する塑性ひずみを各種条件下で計測した。構成式の拡張に関しては,任意の平均応力下および多段変動荷重下における応力ひずみ挙動を予測し得るように硬化則およびダメージ則を改良し,その適用範囲の拡大をはかった。また,材料に蓄積される塑性仕事と疲労き裂発生時期の相関に注目した疲労き裂発生規準のプロトタイプの適用範囲を改良することができた。さらに,結晶塑性FE解析により,巨視的弾性条件下の一定荷重下でも微細な塑性ひずみが発生および累積し,巨視的な塑性状態へ移行する現象がシミュレートされた。本解析により,繰返し軟化挙動発現のメカニズムが明らかにされ,疲労現象の解決およびより深い理解に向けた知見が得られたと考えている。なお,さらに多くの境界条件下での考察を行う必要性も明らかとなった。本研究は構造物の安全性を確保しつつ,合理的かつ経済的な設計を可能にするための先進的な研究であり,新規構造物に限らず,既存構造物の余寿命の診断にも適用できることを目的に行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,現象論的・弾塑性構成式の拡張および結晶塑性モデルを導入したFE解析を実施し,任意の平均応力下および多段変動荷重下における応力ひずみ挙動の予測および巨視的な塑性状態への移行現象のシミュレーションの高度化を着実に進めている。また,さらに多くの境界条件下での考察を行う必要性も明らかとなり,研究計画に従って順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
開発中の弾塑性モデルの拡張および結晶塑性FE解析を実施し,各種変動荷重下における応力ひずみ挙動の予測および巨視的な塑性状態への移行現象のシミュレーションが可能となった。また,これまでの研究では,境界条件が限定的であったため,ランダムを含む複雑な変動荷重下など,各種境界条件下での塑性ひずみの顕在化およびその後のき裂進展挙動への影響に関する考察を行う必要性も明らかとなり,さらに研究を進展させていく必要がる。
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