2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22686084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
醍醐 市朗 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20396774)
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Keywords | 可採性区分 / 都市鉱山 / 回収可能性 / トランプエレメント / レーザーアブレーション / 鋼材中微量元素分析 / non-functional recycling |
Research Abstract |
都市鉱山の回収可能(可採)性について、天然鉱山におけるMcKelvey区分に応じた、都市鉱山の区分を構築した。平成22年度に開発・改良した単体分離・回収可能性評価ツールを用いた使用済み製品のコスト最適な解体ルート探索の結果からも示唆されたように、資源価格の上昇によって単体分離され回収される部材は多くなる。このような個別の製品のミクロな挙動が積みあがり、マクロにも価格により回収性が変動するものと考えられる。その変動の可能性は、McKelvey区分の埋蔵量と資源量の違いにも通じ、都市鉱山を可採性により4つに区分した。 平成22年度の成果において、Cu濃度が高い鉄鋼材のサンプルは、Ag濃度も高い傾向が見られた。レーザーアブレーション質量分析法によって、鉄鋼材中の構成元素を全元素分析した。質量分析法は、半定量分析ではあるが、微量元素については標準試料の作成ができなかったため、定性的な分析とした。その結果、一部の元素に関して、ほとんどの鉄鋼材において微量に存在していることがわかった。今まで鉄鋼材中での存在が指摘されてこなかった元素もあるため、確認のためにサンプル数を増やし、不偏性を確認する必要がある。少なくとも、いくつかの元素に関しては、使用済み製品からの回収時に、鉄スクラップに他素材が混入した結果であると考えられた。これら、元素として消散していないものの、他の素材中に意図せず混入してリサイクルされている状態は、UNEPのResource Panelのレポートにおいてもnon-functional recyclingとして指摘されている。本研究により、その実態の一端が明らかになったと言えよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
都市鉱山の可採性について、その挙動を明確にし、可採性区分を作成した。また、non-functional recyclingについて、最新分析技術を用いることで、今まで指摘されてこなかったような元素が鉄鋼材中に微量に存在していることが明らかになった。今まで鉄鋼材中へのCuの混入について分析してきたものの、その混入経路が不明確であったのに対し、全元素分析によって、種々の元素の混入が同時に評価できるため、混入経路に対して有効な情報になると考えている。これは、都市鉱山からのnon-functionalな回収実態でもあり、今までほとんど知見が得られてこなかった挙動について、今後明らかになることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した可採性区分に応じて定量的に評価するための分析を進める。まずは、詳細なデータが入手可能な鉄鋼材、アルミニウム素材、銅素材について、時系列でのマクロな使用済み回収率(End-of-life recycling rate)について評価する。
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Research Products
(9 results)