2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22686084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
醍醐 市朗 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20396774)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 使用済み回収率 / EoL recycling rate / hibernating stock / 退蔵ストック / 製品寿命の経年変化 / 建築物寿命 |
Research Abstract |
鉄鋼材、アルミニウム素材、銅素材について、時系列での使用済み回収率を評価した。日本を対象とし、動的マテリアルフロー分析によって評価した。今までの動的マテリアルフロー分析に用いられていたパラメータは、回収率を評価するのに十分な精度を持っていなかったため、特に感度の大きな建築物の寿命について、その時系列変化を1985年から2009年まで評価した。その結果、日本における建築物の寿命は、1991年まで単調に短寿命化し、その後単調に長寿命化していたと考えられた。これはバブル景気によって、土地の更なる有効利用のために、建築物の耐久性に関わらず建て替えられていたことが要因ではないかと考えられた。この寿命変化は、経済成長率とも強い正の相関を示し、経済が大きく成長すると短寿命化することが起きてきたことが分かった。これら新しく推計したパラメータを用いて推計した回収率は、評価対象の25年間で、大きく変動していたことが分かった。これにより、都市鉱山の可採性評価における、回収率が変動する範囲が明らかになった。さらに、鉄鋼材と銅素材の変動の要因を分析した結果、価格に対して強い相関を示した。これは、平成22年度の個別使用済み製品からの素材回収性評価の成果とも一致した。それに対し、アルミニウム素材は、価格に対する相関がみられなかった。素材により、回収性に与える要因に違いがあることが確認された。さらに、鉄鋼材の回収率は2007年と2008年に100%を超えていたと推計された。これは、それ以前に排出されていた使用済み製品が退蔵されていた後に、資源価格の高騰したその時期にスクラップとして回収されたものと考えられた。このような挙動は、冬眠した物質ストックとしてBrunnerによって指摘されてきた。本研究によって初めて、物質ストックの冬眠と覚醒の実態を明確にし、その量が少なくないことも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
使用済み回収率を初めて時系列で分析できた。これにより、回収性が時系列で大きく変化することが明らかとなった。ひいては、都市鉱山の可採性評価における、回収率が変動する範囲を定量化することに成功した。また、Brunnerによって指摘されてきたhibernating stockについても、今まで指摘されてきただけの現象が、実際に生じていたことの証左を示すことに成功した。都市鉱山の可採性評価に対しては、このhibernationの挙動は昨年度までに構築した4区分には分類されない挙動であった。平成25年度に、考え方を再度整理し、hibernationも考慮した区分に組みなおす必要に迫られている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に構築した都市鉱山の可採性に応じた区分を、hibernationも考慮した区分に組みなおす。それに準じて、動的マテリアルフロー分析により、各区分について定量的に評価する。また、評価に必要なパラメータについても、順次収集、推計する。 non-functionalな回収実態についても、さらに情報を収集し、精緻な評価を試みる。
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Research Products
(7 results)