2012 Fiscal Year Annual Research Report
低周波波動による高ベータプラズマの加熱とフロー駆動
Project/Area Number |
22686085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井 通暁 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (00324799)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | プラズマ・核融合 / プラズマ加熱 / 高ベータプラズマ |
Research Abstract |
高いベータ値を有する高性能炉心プラズマを実現するためには、調和的な加熱・フロー形成が必須である。本研究では、低周波波動という手段を用いて加熱とフロー駆動の効率的な実現を目的としている。 前年度までの研究によって、強いガイド磁場の存在するリコネクション点近傍にて運動論的アルヴェン波が励起されていることが確認されているが、そのような場合には磁気リコネクションが非定常現象として発現し、リコネクション電場による強い電子加速が発生していることを示唆する結果を新たに得た。本研究において開発した多点同時分光計測システムを用いて不純物/バルクイオンの線スペクトル発光分布測定を行ったところ、励起エネルギーの高い線スペクトルの発光がリコネクション点近傍のごく狭い領域に局在して確認された。これは、リコネクション電場に平行なガイド磁場の存在によって電子が効率的に加速され、局所的にイオンを励起したものと考えられる。このような高エネルギー電子とプラズマ中の熱的な電子との間の相対速度は、電子の熱速度に比べて十分大きくなると見積もられ、その際に発生する二流体的な不安定性が運動論的アルヴェン波を励起しているものと考えられる。 一方、ガイド磁場のない磁気リコネクションの場合には、つなぎかわった磁力線によって励起されるシアアルヴェン波がトロイダルシアフローを駆動するが、その際の流速・電流・圧力の分布を計測した結果、リコネクション時の磁場の極性に応じてイオンフロー分布が変化すること、さらにイオンフローがプラズマ電流の一部を担い、高ベータ平衡状態の維持に寄与していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに開発した多点同時分光計測システムを運用し、強いガイド磁場の存在する磁気リコネクションにおける局所的な線スペクトル発光現象を初めて観測することに成功し、ミクロな物理を解明するための重要な結果を得ることができた。また、低周波波動によって形成されたフロー分布と高ベータ平衡との関連についての実験的検証も、研究計画に沿った形で順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
計画最終年度は、これまで検証を行ってきた(a)磁気リコネクションにおけるガイド磁場の効果、(b)高エネルギー電子と低周波波動との関連性、(c)フロー駆動と高ベータ平衡、のそれぞれについて不足データを蓄積した上で、これまでに得られた成果を総合する。さらに、能動的に励起した波動と高ベータプラズマとの相互作用を実験的に検証し、低周波波動を利用した高性能炉心プラズマの実現に関する方策を取りまとめる。
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[Journal Article] Electron Acceleration by Magnetic Reconnection During Spherical Tokamak Merging Experiment2013
Author(s)
S. Kamio, K. Yamasaki, K. Takemura, Q.H. Cao, T. G. Watanabe, H. Itagaki, T. Tsutsui, K. Ishiguchi, R. Imazawa, T. Yamada, C.Z. Cheng, M. Inomoto, Y. Takase, Y. Ono
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Journal Title
電気学会論文誌A
Volume: 133-A
Pages: 166-172
DOI
Peer Reviewed
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