2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22686086
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
井戸村 泰宏 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (00354580)
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Keywords | 核融合 / トカマク / ジャイロ運動論 / 数値実験 / 核燃焼プラズマ |
Research Abstract |
国際熱核融合実験炉ITERにおける核燃焼プラズマ実験の性能予測や運転シナリオ設計を行う上で、信頼性の高いプラズマ輸送シミュレーションが必要とされている。核燃焼プラズマは燃料プラズマ、ヘリウム灰、不純物等の多種イオンがプラズマ乱流、粒子衝突を介して相互作用する複雑系となっており、輸送現象の高精度な評価・予測には第一原理モデルに基づくシミュレーションが必要不可欠である。本課題では、第一原理プラズマ乱流コードGT5Dに基づいて、核燃焼プラズマ輸送数値実験の開発に取り組む。本年度は以下の項目に関して、物理モデルの定式化・拡張、および、GT5Dの超並列マルチコア最適化を実施した。 1.多種イオンの拡張:多種イオンの計算を実現する上で、粒子種の異なるイオン間の運動量・エネルギー交換をもたらす粒子衝突モデルが必要となる。今年度は異種粒子衝突モデルの定式化を完了し、座標系や並列処理方法等、GT5Dへの実装方法の検討を行った。 2.電子モデルの拡張:電荷中性条件を満たす核融合プラズマにおける燃料粒子の輸送を計算するには、イオン系乱流に加えて電子輸送を引き起こす電子系乱流の計算が必要となる。電子系乱流の計算には電子の運動論的応答を正しく捉える必要があるが、電子の高速な熱運動を高精度かつ効率的に計算することが課題となっていた。本研究では半陰解法に基づく電子モデルの開発に成功し、電子系乱流を励起する微視的不安定性の線形計算においてその精度を検証した。 3.超並列マルチコア最適化:今後の超並列マルチコア環境における大規模シミュレーションを実現するためにMPI/OpenMP等を組み合わせたハイブリッド並列処理の最適化手法を開発し、1万コアを超える規模まで並列処理性能のスケーラビリティを確認した。
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