2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22686086
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
井戸村 泰宏 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (00354580)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 核融合 / トカマク / ジャイロ運動論 / 数値実験 / 核燃焼プラズマ / 運動量輸送 |
Research Abstract |
国際熱核融合実験炉ITERにおける核燃焼プラズマ実験の性能予測や運転シナリオ設計を行う上で、信頼性の高いプラズマ輸送シミュレーションが必要とされている。核燃焼プラズマは燃料プラズマ、ヘリウム灰、不純物等の多種イオンがプラズマ乱流、粒子衝突を介して相互作用する複雑系となっており、輸送現象の高精度な評価・予測には第一原理モデルに基づくシミュレーションが必要不可欠である。本課題では、第一原理プラズマ乱流コードGT5Dに基づいて、核燃焼プラズマ輸送数値実験の開発に取り組む。本年度は以下の項目に関して、GT5Dの開発、および、乱流シミュレーション研究を実施した。 1.GT5Dの開発:GT5Dに高次精度のジャイロ運動論モデルを実装した。これに伴い、非線形ジャイロ運動論的ポアソン方程式の反復解法を開発した。また、GT5DのIFERC-CSCへの移植・最適化を完了し、数万コアを用いた大規模シミュレーションを開始した。 2.運動量輸送の精度検証:高次精度のジャイロ運動論モデルを用いたイオン系乱流シミュレーションの収束テストによって、ジャイロ運動論シミュレーションにおける運動量輸送の計算精度を検証し、標準的な1次精度のジャイロ運動論モデルで計算が十分に収束することを明らかにした。これによって、長時間スケールの乱流輸送数値実験に向けた計算モデルを確立した。 3.加熱モデル比較:GT5Dで標準的に用いている熱源固定モデルに加えて、従来のシミュレーションで多用されてきた温度分布固定モデルを実装し、加熱モデルの違いが輸送特性に与える影響を調べた。この結果、後者では分布を拘束するためにプラズマ中に人工的に課される調整熱源の影響によって、核燃焼プラズマの性能予測において重要な乱流輸送の衝突度や装置サイズに対する依存性が大きく影響を受ける可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は異種粒子衝突モデル開発の完了を予定していたが、運動量輸送の精度検証がコミュニティで大きな論争になったため、この問題を解決するために高次精度ジャイロ運動論モデルの実装を優先し、精度検証の問題を解決した。この結果、異種粒子衝突モデルの開発が遅れ、イオン-電子系乱流のシミュレーションに着手できなかった。一方、イオン系乱流のシミュレーション研究に関しては計画以上のペースで成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
異種粒子衝突モデルの開発を完了してイオン-電子系乱流のシミュレーションを実施し、イオン系乱流と電子系乱流の輸送特性の比較を行う。また、これまでのイオン系乱流のシミュレーション研究を継続し、運動量輸送と自発プラズマ回転形成、あるいは、加熱パワーの変調に伴う輸送特性の非線形応答といったプラズマ分布と乱流輸送の相互作用に関する研究を実施する。
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