2011 Fiscal Year Annual Research Report
マルチ磁気パラメータを用いた圧力容器鋼の非接触・非破壊照射脆化評価技術の確立
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22686087
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
菊池 弘昭 岩手大学, 工学部, 准教授 (30344617)
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Keywords | 磁気 / 非接触 / 非破壊評価 / 照射脆化 |
Research Abstract |
本年度は磁気アコースティックエミッションを非接触で計測するための計測技術開発を継続して行い、また、予備実験として磁気ヨークと試料を接触させた場合について照射材の計測を行った。以下、成果をまとめる。 1.昨年構築した非接触で磁気アコースティックエミッションを計測可能な測定系により、材質変化を導入した試料に対して磁気アコースティックエミッションの評価を試みた。磁壁移動に伴う局所的な不連続な変形の変位量は非常に小さく、磁気アコースティックエミッション信号とノイズとのSN比の改善には至っていない。次年度も継続して検討する。一方、磁気アコースティックエミッションではなく、レーザー変位計を用いた計測において、磁界印加時の試料の変位特性が試料の材質変化に敏感であることが見出された。 2.従来の接触型の計測手法を用いて、照射材の磁気計測を行った。照射脆化模擬材として未圧延および圧延したFe-Cu合金を用いた。バルクハウゼンノイズでは、未圧延材において顕著な磁気特性変化は見られなかった。一方、圧延材においてはパラメータの低下が見られた。透磁率変化では、圧延材において低周波側で透磁率の増加が観測された。この変化はバルクハウゼンノイズの変化と対応する。未圧延材において、低周波では透磁率の値に変化はなかったが、高周波領域において変化が観測された。これは、銅の析出による抵抗率変化を反映しているものである。この結果は、従来容易でなかった未圧延材の照射脆化を磁気的非破壊技術で評価可能であることを示したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非接触の磁気アコースティックエミッション計測技術開発が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザードップラー振動計を用いた非接触磁気アコースティックエミッション評価技術開発はSN比の改善が進んでおらず、遅れ気味であるが、この課題克服を今年度前半に集中的に行う。一方、レーザー変位計を用いた新たな非接触計測手法の可能性が見出されたので、こちらも同時進行で開発を進める(非接触磁気アコースティックエミッション評価技術開発の進展度合いによっては代替手法とする可能性を含む)。照射材の非接触計測用装置により8,9月に照射材の計測を実施する。年度後半に照射材計測の結果に基づき脆化評価手法を検討する。
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