2012 Fiscal Year Annual Research Report
低温度廃熱の有効利用に向けての検討-熱音響現象を応用したエネルギーの効率化-
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22686090
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
坂本 眞一 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (40449509)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 熱音響 / 廃熱 / 音エネルギー / 位相差 / 低温度廃熱 |
Research Abstract |
熱音響現象のエネルギー変換効率の低下要因と温度差の関係についての検討を行った.システム内の流体の時間的・空間的な変化を観察した.システム内の流体の温度変化を熱電対にて測定し,時間的・空間的な変化を測定した.システム内には音波発生開始前から発生直後は熱対流が多く発生しており,プライムーバ付近では乱流状態になっていることが確認された.その後,音波発生後は音波の非線形性によるものと思われる音響流が発生していることがわかった.空間的な分布としてはプライムムーバー付近が最も大きく変化しており,直管部分では大きな変化は見られなかった.システム内の音場(音響インテンシティ分布,音圧分布,粒子速度分布,位相分布)に着目し,検討を進めており,本申請で提案しているフェーズアジャスター付近においても流体の変化を観察した.フェーズアジャスター付近の管中央部では予想通り,速度が大幅に大きくなっていることがわかった.また,フェーズアジャスター付近の管中央部以外では乱流状態であることが確認され,観測は定性的なものになった.これらの結果より,システム内の流体の不必要な移動はシステムの効率を低下させると考えられることから,プライムムーバー付近での熱対流の防止,システム内の音波の非線形性を抑制するなどの対策が必要であることが確認された. 熱音響システム内の熱エネルギーのヒートリークにも着目し,計測を行った.主に熱の入力部であるプライムムーバー付近を観測した.観測には赤外放射温度計ならびに熱電対を用いた.測定結果より,プライムムーバー付近で大幅なヒートリークがあり,効率を大きく低下させていることが確認された.システム自身の断熱やシステムへの効率的な入力方法を検討する必要があると考える.これらの結果より,熱音響システムの低温度駆動が促進され,有り余る低温度の廃熱の有効利用が進むと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究助成申請時に提案した熱音響現象のエネルギー変換効率の低下要因と温度差の関係についての測定は順調に実施している.個々の要因である,流体の不必要な移動の一部やプライムムーバー付近でのヒートリークなどが,一部ではあるがようやく明らかになってきた.これらの成果より,低温度廃熱の有効利用に向けての要因解明についての検討が進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確認されている流体の不必要な移動やヒートリークなどの要因を詳細に検討するとともにその対応策ならびにそれらの関係について明らかにするための測定・検討を進めていく予定である.また,フェーズアジャスターやメンブレンなどの方法と温度差の関係について明らかにするための測定・検討を進めていく予定である.
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Research Products
(33 results)