2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22687005
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小柳 光正 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30379276)
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Keywords | ロドプシン / 色弁別 / ゼブラフィッシュ / 眼外光受容 |
Research Abstract |
下等脊椎動物は、松果体を使ってUV光と可視光の比率という"色"情報を得ていることが知られている。本研究では、申請者が見出した松果体色弁別の光受容分子パラピノプシンを起点として、松果体色弁別機構の解明および長年の謎であった生理的役割の解明、さらには下等脊椎動物の多様な松果体関連器官の機能的・進化的関係の解明を目指す。具体的には、パラピノプシンを発現する細胞をターゲッティングしたトランスジェニック(Tg)ゼブラフィッシュを作製し、色弁別のための神経ネットワークの解明、色情報の脳内投射先の解明、パラピノプシン発現細胞を失活させたTgゼブラフィッシュの電気生理学的・行動学的解析を行う。平成23年度は以下の成果を得た。 ・電気応答測定系を構築し、魚類松果体の光応答の取得に成功した。 ・パラピノプシン発現細胞に選択的に毒素を発現させ、パラピノプシンを介した光入力を阻害したTgゼブラフィッシュ系統を樹立した。 ・パラピノプシンターゲットしたTgゼブラフィッシュを用いて、松果体色弁別情報の脳内投射の可視化に成功した。 ・複数種類の神経伝達物質トランスポーターをターゲットしたTgゼブラフィッシュを作製した。 ・in situ hybridizationおよび免疫組織化学的解析によって、松果体に存在するパラピノプシン以外の光受容タンパク質の局在を明らかにした。 ・松果体で機能する光受容タンパク質の役割分担を明らかにするために、各光受容タンパク質の発現時期を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
電気応答測定系の立ち上げは装置の改変によって予定より少し遅れたが、Tgゼブラフィッシュを用いた組織学的解析が予想以上に進み、松果体でキャッチした色情報が脳のどこに投射するかという本研究の最終目的の手がかりとなり得る成果を得た。また、パラピノプシン以外の松果体光受容タンパク質の解析も進み、当初の計画よりもより包括的かつ詳細に松果体色弁別機構を解明する体制が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに、研究課題達成のための技術や材料はおおむね出揃ったので、今後はそれらを効率よく使って解析を進めていく。また、予想外に多様な光受容タンパク質が松果体色弁別に関与している可能性も示唆されたので、当初の研究計画を発展させ、松果体機能全般を含めた網羅的を視野にいれる必要がある。
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