2011 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質間相互作用によるエピジェネティクス制御機構の構造生物学的基盤
Project/Area Number |
22687008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有田 恭平 京都大学, 工学研究科, 助教 (40549648)
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Keywords | 構造生物学 / X線結晶構造解析 / エピジェネティクス / タンパク質間相互作用 / UHRF1 |
Research Abstract |
1.UHRF1-Dnmt1の相互作用の生化学、物理化学的な解析。UHRF1 SRA domainとDnmt1のRFTS domainとの結合を等温滴定型カロリメトリーで定量した。その結果、解離定数が約3μMであることが分かった。両者が結合することが明らかになったので、SRA : RFTSの複合体を調製して、様々な条件で結晶化を行ったが、複合体の結晶は得られていない。結晶が得られなかった理由としてUHRF1とDnmt1の結合が遷移的なものである可能性が考えられる。今後は溶液中でのUHRF1とDnmt1の相互作用の構造学的な知見を得るために低分解能で構造解析、X線小角散乱、高速AFM等の解析を行う予定である。生化学的な研究より、SRA domain, Dnmt1,ヘミメチル化DNAが3者複合体を形成しないことを明らかにした。 2.JMJD6と基質ペプチドとの複合体結晶構造解析。これまでに共同研究者とともにJMJD6が水酸化活性を示すタンパク質の同定を行った。本年度はJMJD6と基質ペプチドとの複合体結晶の調製を行った。JMJD6全長および、立体構造を保持していないと考えられるC末端領域を除いたJMJD6を大腸菌内で高発現させた。カラムクロマトグラフィーににより高純度に精製して、JMJD6の基質であるピストンH4のN末端領域のペプチドと混ぜ合わせ結晶化のスクリーニングを行った。しかしながら、JMJD6の結晶は得られなかった。これはJMJD6が溶液中で単分散で存在していないこと、基質との結合が遷移的であることが原因であると考えられる。今後サンプル調製を改善し、構造学的な観点から」JMJD6の基質認識機構の解明を進めて行く予定である。 3.UHRF2 SRA domainとDNAとの複合体構造解析。ゲノムDNA中のCpG配列のシトシンヒドロキシメチル化(5hmC)はメチル化DNA(5mC)の脱メチル化に関与するDNA修飾であると考えられている。UHRF2はUHRF1のホモログである。UHRF1のSRA domainはヘミメチル化DNAを認識するが、UHRF2のSRA domainとUHRF1のSRA domainの基質認識ポケットを形成するアミノ酸残基にはいくつか違いがある。UHRF2のSRA domainが5mCを含むDNAに加えて、5hmCを含むDNAにも結合することを新たに解明した。一方でUHRFIのSRA domainは5hmCを含むDNAに対しては結合を示さない。さらにメチル化シトシンの酸化誘導体である5-ホルミルシトシン、5-カルボキシルシトシンにもUHRF2のSRA domainが結合することを新たに見出した。しかし、UHRF2 SRA domainのDNAへの結合は非常に弱いことが競合阻害剤を用いたDNA結合実験で明らかにった。さらにUHRF2のSRA domainと5hmCを含むDNAとの複合体を調製し結晶化に成功したものの、構造決定した結晶構造中にはDNAが含まれていなかった。これらのことから、UHRF2は様々な修飾状態のメチル化DNAに結合できるが、その結合は弱いことが明らかになった。このようなUHRF2のDNAへの結合特性がUHRF1との機能にどのように関連しているのを明らかにしていく予定である。
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[Journal Article] Crystal structure of the ubiquitin-associated (UBA) domain of p62 and its interaction with ubiquitin2011
Author(s)
Isogai S, Morimoto D, Arita K, Unzai S, Tenno T, Hasegawa J, Sou YS, Komatsu M, Tanaka K, Shirakawa M, Tochio H
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Journal Title
Jornal of Biochemistry
Volume: 286
Pages: 31864-31874
DOI
Peer Reviewed
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