2010 Fiscal Year Annual Research Report
微小管及びキネシン分子から構築される紡錘体様構造の3次元力学ネットワークの解明
Project/Area Number |
22687012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢島 潤一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (00453499)
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Keywords | 分子モーター / 細胞骨格 / 紡錘体様構造 / 3次元計測 |
Research Abstract |
生命の基本現象である細胞分裂では、紡錘体と呼ばれる分裂装置が、細胞骨格やモータータンパク質などの相互作用を通して3次元空間に構築される。機能の異なる生体分子モーターが、この分裂装置に必須であることは知られているが、各種分子モーターの詳細な運動機構がわかっておらず、如何に分裂装置を組み上げるかの詳細も解明されていない。近年、分裂期特異的キネシン分子(kinesin-5)は、微小管の長軸に沿った方向に力を発するだけではなく、微小管の長軸に対して回転させる特性を持つことが報告された。キネシン分子が紡錘体の構築にどのように関与しているかを理解するためには、微小管を直進させる運動機構のみならず、回転させる運動機構をも統合したかたちでキネシンの運動メカニズムを理解する必要がある。本申請研究では、3次元空間で蛍光粒子の位置測定を行いながら力測定できる顕微鏡を構築し、多分子の分子モーターが微小管の長軸及び短軸方向に力をどれだけ出しているのかを定量する。平成22年度は、紡錘体で働くことが既に知られているが、これまでに微小管を回転させる性質の有無は調べられていない複数のキネシン様タンパク質およびダイニン分子の計測を行った。結果、細胞分裂で働くキネシン様モーター蛋白質が、微小管を滑らせながら長軸の方向に対して回転させていることを新たに見出した。このキネシン様タンパク質はATP濃度に依存してピッチ(微小管の長軸に対して1回転する間に微小管が直進する距離)を変え、この性質は、他のキネシン(kinesin-1)とは異なる性質であった。さらに、キネシン結合タンパク質によりピッチが変わることがわかり、この結合タンパク質の有無に応じ、細胞周期依存的にキネシン分子のトルクが制御されている可能性を示唆する結果を得た。
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Research Products
(3 results)