2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22688001
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
川勝 泰二 独立行政法人農業生物資源研究所, 機能性作物研究開発ユニット, 主任研究員 (30435614)
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Keywords | イネ / 種子貯蔵タンパク質 / 転写因子 / 胚乳 / 有用物質生産 |
Research Abstract |
一過的過剰発現系を利用して、OsGAMYBL2、RISBZ1、RPBFが、お互いの遺伝子発現量を正に制御しあっていることを明らかにした。また、OsGAMYBL2とRISBZ1については、自分自身の遺伝子発現量を正に制御していることも明らかにした。さらに、これら3つの転写因子はイネ細胞内で複合体を形成することが明らかとなった。 、OsGAMYBL2の過剰発現体を作出を試みたが、再分化した個体が得られなかったため、カルスにおいて解析を行った。その結果、これまでレポーターアッセイでOsGAMYBL2によって制御されていることが示唆されてきた種子貯蔵タンパク質やRISBZ1、RPBFの遺伝子発現が誘導されており、in plantaでの発現制御を証明することができた。一方で、カルスに一過的にアグロバクテリウムを感染させた状態ではOsGAMYBL2タンパク質の蓄積は観察できたが、下流遺伝子発現誘導が観察されなかった。このことから、カルスにアグロバクテリウムを感染している状態ではエピジェネティックに抑制されている可能性が示唆された。 胚乳品質を制御する因子の一つに小胞体ストレスが挙げられる。小胞体膜結合ドメインをもつbZIP型転写因子のうち、OsbZIP50はmRNAがIRE1によって特殊なスプライシングを受けることで、OsbZIP39はタンパク質が小胞体膜から切り離されることで核移行し、下流のシャペロンタンパク質の遺伝子発現を誘導することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでは転写因子-種子貯蔵タンパク質遺伝子という1対1の関係のみが明らかになっていたが、複数の転写因子同士が複合体を形成して下流の発現制御をしていること、転写因子同士がお互いの発現を正に制御していることが明らかとなってきたため、ネットワークの一端が明らかとなってきつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終目標は種子中での有用物質生産の高度化である。種子中で有用物質を高発現させると小胞体ストレス状況に陥ることが明らかとなっている。小胞体ストレス化では種子貯蔵タンパク質遺伝子を直接正に制御する転写因子群の転写量は変化せず、むしろタンパク量が登熟後期において多くなっているにも関わらず、下流の種子貯蔵タンパク質遺伝子発現量は顕著に低下している。これにはエピジェネティックな制御の関与が疑われる。そこで、小胞体ストレスに対するエピジェネティックな応答に関しても、可能であれば解析していきたい。
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Research Products
(6 results)