2010 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素環境下における作物挙動と適応反応性に関する基礎的研究
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22688002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
実山 豊 北海道大学, 大学院・農学研究院, 講師 (90322841)
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Keywords | 耐湿性 / 低酸素 / 水耕栽培 / 根域 / 湿害 |
Research Abstract |
圃場耐湿性が特徴的なダイズ品種を、低酸素ストレスを負荷しながら温室または実験室内の培養器内(in vitro)で水耕栽培し、低酸素ストレスに対する耐性の評価を行った。ダイズの各種形態形質について分散分析を行った結果、処理の影響または処理×品種の交互作用に有意性が認められた形質が、高温条件では根部形質に多くみられたのに対し、低温条件では地上部形質に偏った。外環境温度による低酸素負荷処理が及ぼす形質種の変化について更に解析を進めるため、処理の影響が有意だった形質での処理間比(低酸素区/対照区)を用い、試験年次別で主成分分析を行った。両温度条件ともに2主成分が抽出され、高温条件では二次根長が、低温条件では葉面積が、寄与率がより高い第1主成分の中でも最も因子負荷量が大きい形質として検出された。これら2形質は、圃場耐湿性「弱」品種では低酸素負荷処理で低下する傾向だったのに対し、圃場耐湿性「強」品種では処理の影響は認められなかった。これら今年度の結果から、試験期間中の気温、またはそれに伴う対照区での溶存酸素量が、低酸素負荷処理に対するダイズ実生の反応性を変動させうる可能性が示唆された。ただし、耐湿性が弱いとされる一部品種では、低酸素負荷時に細根の綾化や葉面積の縮小等の形態反応が共通してみられ、ダイズの低酸素反応性と耐湿性との関連性が確認された。 これらの情報は、次年度から予定している低酸素または冠水条件下における水動向の調査並びに水動向に影響を及ぼすタンパク質、アクアポリン発現の調査の基礎情報として重要である。
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Research Products
(1 results)