2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞壁ペクチン質多糖のホウ酸による架橋に必要な分子の同定
Project/Area Number |
22688005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三輪 京子 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (50570587)
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Keywords | シロイヌナズナ / ホウ酸 / 植物細胞壁 / ペクチン / 変異株 |
Research Abstract |
ホウ素は植物の必須元素であり、その欠乏は農業生産に重大な影響を与える。ホウ素は植物細胞壁の特定のペクチン質多糖ラムノガラクツロナンII(RG-II)間を架橋することが生理的役割とされているが、架橋反応を担う酵素の存在や反応の細胞内部位は全く明らかにされていない。そこで、本研究では「ペクチン質多糖RG-IIのホウ酸による架橋に必要な酵素の同定」に取り組み、ホウ素が細胞に輸送されてから細胞壁成分として生理機能をもつまでの反応過程の解明を目的とした。まず、ホウ素の生理機能である細胞壁ペクチン質多糖の架橋を担う酵素の存在を生化学的に検証するため、単離したRG-IIを用いた試験管内での二量体再構成実験を行った。シロイヌナズナ培養細胞から抽出した細胞抽出液の添加によって、RG-II二量体再構成率が上昇するかを検討したが、有意な変化は認められなかった。本実験では再構成率の値が実験によって大きく異なるなど結果の再現性が乏しく、反応条件の検討が必要であると考えられた。遺伝学的手法によってRG-II架橋にかかわる分子を単離するため、通常条件では生育抑制を示すが、過剰ホウ素によって生育が回復する「高ホウ素要求性シロイヌナズナ変異株」のスクリーニングの準備を進めた。これに加えて新たなアプローチとして、RG-IIに結合するタンパク質を生化学的に単離する試み、シロイヌナズナ培養細胞を用いてホウ素欠乏馴化細胞を作出する試みを進めた。
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Research Products
(5 results)