2012 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞壁ペクチン質多糖のホウ酸による架橋に必要な分子の同定
Project/Area Number |
22688005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三輪 京子 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (50570587)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 植物 / ホウ素 / 細胞壁 / 変異株 |
Research Abstract |
ホウ素は植物の必須元素であり、その欠乏は農業生産に重大な影響を与える。ホウ酸は植物細胞壁のペクチン質多糖ラムノガラクツロナンII(RG-II)間を架橋しており、ホウ酸によるペクチン架橋がホウ素の生理機能であることが示されている。しかし、RG-II合成やホウ酸によるRG-II架橋反応の分子機構は明らかにされていない。そこで、本研究ではRG-IIのホウ酸による架橋の分子機構の解明を目的とした。 ホウ酸によるRG-II架橋に関与する分子を同定するため、モデル植物シロイヌナズナを用いて、正常な生育により高濃度のホウ酸を必要とする高ホウ素要求性変異株の探索をした。その結果、ロゼット葉の展開を指標として1万4000株のM2から26株、根の伸長を指標として1万8000株のM2から5株の変異株を単離した。原因遺伝子の解析を行ったところ、糖転移酵素やUDP-糖合成に関わる酵素、糖加水分解酵素をコードすると予想される遺伝子に原因の変異がそれぞれ見出された。これらの変異株の解析より、RG-II合成やホウ酸とRG-IIの架橋に関与する新規の細胞壁関連遺伝子の同定に成功した。さらに、病原応答の遺伝子発現誘導を抑制する因子群、ビタミンB6代謝に関連する酵素をコードする遺伝子の変異を原因とする変異株が含まれ、ホウ酸が細胞壁とは異なる新規の生理作用をもつ可能性を明らかにした。 また、シロイヌナズナホウ酸輸送体BOR2が低ホウ素条件下の根の伸長に重要であることを明らかにした。BOR2機能欠損株では根の全ホウ素濃度には違いがないのに対し、RG-IIの架橋率が低下しており、BOR2がホウ酸をRG-IIへ優先的に分配する働きをもつことが示唆された。これらの結果は、低ホウ素条件下で細胞壁に利用されるホウ酸が輸送タンパク質を介して積極的に分配されるしくみを明らかにした成果となった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Roles of BOR2, an efflux-type boron transporter, in crosslinking of rhamnogalacturonan II and root elongation under boron limitation in Arabidopsis thaliana.2013
Author(s)
Miwa, K., Wakuta, S., Takada, S., Ide, K., Takano, J., Naito, S., Omori, H., Matsunaga, T., Fujiwara, T
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Journal Title
Plant Physiology
Volume: 163
Pages: 1699-1709
DOI
Peer Reviewed
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