2010 Fiscal Year Annual Research Report
寄生細菌“ボルバキア”を利用したマツノマダラカミキリの生殖機能撹乱技術の確立
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22688012
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
相川 拓也 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (90343805)
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Keywords | ボルバキア / マツノマダラカミキリ / 生殖異常 / マツ材線虫病 / マイクロインジェクション |
Research Abstract |
本研究の目的は、他の昆虫由来のボルバキアをマツノマダラカミキリに導入することにより、マツノマダラカミキリの生殖機能にどのような影響が生じるのかを明らかにすることである。今年度は、アズキマメゾウムシのボルバキアをマツノマダラカミキリの蛹に注入しその定着程度を調査した。 1.ボルバキアの人為的注入がマツノマダラカミキリの羽化に及ぼす影響 人工飼料上で飼育したマツノマダラカミキリの蛹にアズキマメゾウムシ由来のボルバキアをマイクロインジェクション法を用いて注入し、それらが正常に羽化できるかどうかを調べた。その結果、ボルバキアを注入した蛹50頭うち47頭が成虫へと発育した(94%)。このように、高い確率で蛹から成功へと発育できたことから、ボルバキアの人為的注入はマツノマダラカミキリの羽化に悪影響を及ぼさなかったと推測された。 2.マツノマダラカミキリ成虫のボルバキア感染率 次に、それらの成虫を交配させ次世代幼虫を採集した後、成虫がボルバキアに感染しているかどうかをPCR診断により調査した。その結果、成虫の生存期間に関わらず、羽化に成功した47頭(雄22頭、雌25頭)すべてからアズキマメゾウムシのボルバキア遺伝子が検出され、注入したボルバキアが成虫個体に定着していることが示唆された。このように、マツノマダラカミキリの蛹に注入したボルバキアはマツノマダラカミキリが成虫になった後も除去されることなく、虫体内で安定的に生息できる(定着できる)ことが明らかとなった。
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