2011 Fiscal Year Annual Research Report
産卵場解析による魚種交替生物過程の解明と海洋生態系間比較
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22688017
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
高須賀 明典 独立行政法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, 主任研究員 (00392902)
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Keywords | 海洋生態 / 海洋資源 / 水産学 / 生態学 / 国際研究者交流 / 米国:ペルー:カナダ |
Research Abstract |
本研究課題では、気候変動に伴ってカタクチイワシとマイワシの間で優占魚種が入れ替わる「魚種交替」現象の生物学的メカニズムを明らかにするため、産卵場解析を中心に研究を進め、異なる海洋生態系間比較を介してのシナリオ提示を目指す。今年度は各項目についてほぼ計画通り進捗させた。 1.産卵特性に対する産卵場環境の歴史的変遷と魚種交替機構 産卵場環境の歴史的変遷を調べるデータセットを作成するために、直近のデータ更新と共に、土佐湾周辺海域を中心に1977年以前の産卵調査の紙媒体資料を発掘・整理し、電子化作業を進めた。 2.主産卵場形成機構 両魚種の重複産卵期である2~3月の産卵調査を担当・実施し、主産卵場である土佐湾周辺海域のカタクチイワシ、マイワシ等小型浮魚類の卵・仔魚採集と環境要因データ取得を密に行った。 3.物理・生物環境に対する産卵特性の海洋生態系間比較 ペルー海洋研究所の協力者と共同し、海洋生態系間比較の準備を進めた。黒潮海流域とフンボルト海流域の比較に焦点を当て、産卵特性の解析に用いる一般化加法モデルの試行版を作成した。 4.その他 産卵場から輸送される過程での生残を議論するために、魚類の初期生活史における成長-生残研究に関する知見を統合し、総説論文を作成するためのワークショップを主催した。総説論文の構成を決定すると共に統合シナリオの概念図を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画のうち、データ電子化と産卵調査によるデータ蓄積はほぼ計画通りに進んだ。海洋生態系間は全海域ではなくフンボルト海流域に絞っているが、予定通り進んでいる。また、新たに計画した魚類の初期生活史における成長-生残研究の知見を統合するワークショップで期待された成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は当初計画では基本的には産卵場解析のみを想定していたが、産卵場から輸送される過程での生残を議論するために、魚類の初期生活史における成長-生残研究の知見を統合することを立案し、共同研究ワークショップを開催した。このワークショップが成功したため、今後も本項目を継続・発展する予定である。また、4つの異なる海洋生態系を等しく進めていく予定であったが、魚種交替の最近の傾向等を考慮し、フンボルト海流域との比較を重点的に進めるものとした。
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