2011 Fiscal Year Annual Research Report
西アフリカ・ボルタ川流域の大規模な湿地・湖沼における水収支および気象緩和機能解析
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22688020
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
藤原 洋一 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (10414038)
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Keywords | 水循環 / 水資源 / 氾濫原 / 洪水 / 農業工学 / 蒸発量 / アフリカ / ガーナ |
Research Abstract |
研究の目的:西アフリカ・ガーナ・ボルタ川流域に含まれる大規模な氾濫低湿地・湖沼における水移動を解析するだけでなく、降水量の約9割に相当する量が持ち出される蒸発量を観測することによって、貴重な水資源を巧みに利用できるような湿地・湖沼の適切な保全・管理方法を提案することを目的とする。 研究の内容:対象としている湿地において、ピエゾメーターによる水動態の観測、および、ボーエン比方による湿地からの蒸発散量の観測を継続して行うとともに、気象学の分野で広く用いられている再解析データを用いて、西アフリカ・ボルタ川流域の長期流出解析を行い、この結果をローカルな氾濫特性の解析に利用することを検討した。ボルタ川全流域をNCEPのグリッドで分割し、河道の地図情報を利用して各グリッドからの流下方向を手動で決定して、最上流のグリッドから最下流のグリッドまでの河道網を作成した。グリッド間における河道の流れは、日ハイドログラフを流下時間の分だけ遅らせることによって計算することとした。ここでは、各グリッド間の距離がおおよそ200kmであること、地形がかなり平坦であることを考慮して、グリッド間の流下時間を3日とした。NCEP再解析データの流出量データから河川流量を計算して観測値と比較したところ、豊水年や渇水年といった判別を行える程度の再現性は得られることが分かった。実際のローカルな研究対象村において、氾濫水位を観測したところ、対象とした2010年はここ30年間で最も流出量が多かった年であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測機の故障などといった大きなドラブルはなく、順調に観測データが得られている。また、論文、学会発表も積極的に行っておりおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、ボルタ川全流域を対象とした氾濫水文モデルの構築を重点的に行う。流出モデルのベースとしては河川からの氾濫を明示的に表現することの出来るWTM(Water Transport Model)を利用し、気象データには再解析データだけでなく、地上観測値、衛星データなどを活用することによって再現精度の向上を試みる。そして、水文シミュレーション結果に基づいて、洪水緩和機能の定量化、および、気象緩和機能の定量化を流域スケールで行う。
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Research Products
(4 results)