2010 Fiscal Year Annual Research Report
コンプトンカメラによる植物体内の複数物質同時イメージング技術の開発
Project/Area Number |
22688021
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
河地 有木 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (70414521)
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Keywords | 植物栄養動態 / イメージング / 多元素同時計測 / コンプトンカメラ |
Research Abstract |
これまで行われてきたコンプトンカメラ開発において、植物栄養動態研究を実施することを念頭に置いた改良を実施した。「植物が生きたまま」での非侵襲的イメージングを実現する上で、環境条件を制御できる植物育成庫内での実験は避けられないと考え、コンプトンカメラの小型化と検出器周りの温度(湿度)管理が可能なカメラハウジングを開発した。ハウジング外気が30℃前後でかつ高湿度であってもハウジング内は-15℃~-25℃を保つ冷却機構を採用し、冷却時および非駆動時に結露が発生しないことを目的とした。また、コンプトンカメラの各検出器および電子回路といった電子部品は振動に脆弱であるため、通常の冷凍機から生じる機械振動および電子ノイズからの影響がないことも必要となる。そのため、断熱性に優れた新素材、乾燥空気発生システム、冷却装置と低温循環水槽をまとめたコンプトンカメラ用冷却システムを製作した。 冷却システムを用いて検出器周りの環境をマイナス20℃、湿度約10%に保持した状態で性能評価試験を開始した。特に生体を対象としたトレーサ実験の場合、画像データ上の放射線量の線形性が重要である。半減期約2時間の18F標識放射性物質を長時間撮像し、高線量から低線量のもと計数率を測定した。測定データは、GEANT4ツールキットを用いたモンテカルロシミュレーションでも検証を行っている。 さらに、広いエネルギーレンジを持つコンプトンカメラは数多くの市販されている放射性同位元素(^<109>Cd(88keV)、^<54>Mn(834keV),^<59>Fe(192keV),^<65>Zn(1115keV))もイメージングできる。通常の放射線計測器を用い、植物研究に有用なRIトレーサを探索した。
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