2011 Fiscal Year Annual Research Report
寿命制御における転写因子FOXO1のDNA損傷応答機能の解明
Project/Area Number |
22688029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大徳 浩照 筑波大学, 生命環境系, 講師 (30361314)
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Keywords | 転写因子 / 紫外線 / 損傷乗り越え複製 / 線虫 |
Research Abstract |
本研究の目的は、抗老化・長寿遺伝子として知られている転写因子FOXO1の新たな機能として、紫外線DNA損傷応答機構における役割を検証することで、寿命調節におけるFOXO1の分子メカニズムの一端を解明することである。昨年度までの研究成果により、以下のことが明らかになった。 1.FOXO1が関与するDNA損傷応答経路の特定 培養細胞を用いた紫外線照射実験から、FOXO1はヌクレオチド除去修復ではなく損傷乗り越え複製に関与することが示唆された。また生化学的な結合実験から、損傷乗り越え複製因子複合体に含まれるRFC大サブユニットのCTF18がFOXO1と直接相互作用することが示された。 2.線虫のDNA損傷応答因子変異体を用いた寿命測定 損傷乗り越え複製酵素遺伝子の線虫オルソログであるpolη遺伝子の変異体を入手して、daf-2変異体,daf-16変異体などとともにUV照射後の寿命を測定し、daf-16はpolηと同様に成虫期のUV損傷応答には関与しないことを見いだした。 3,線虫のDNA損傷応答因子変異体を用いた幼虫期の紫外線損傷応答 線虫は孵化後4段階の幼虫期を経て成虫となり、この間の活発な細胞分裂(DNA複製)時に紫外線を照射することで、損傷乗り越え複製を評価することができる。解析の結果、daf-16はpolηと同様に細胞分裂期の紫外線DNA損傷応答である損傷乗り越え複製に関与することが個体レベルで示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線虫を用いた遺伝学的解析に関しては、当初の計画通りに進展しているが、培養細胞を用いた生化学実験については技術的に困難な局面に行き当たることが多々あり、進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は論文投稿準備段階にあり、現在は最終的なデータの確認を行っている。今後は投稿後にレフリーから指摘されうるポイントを想定した実験を追加し、さらなる検証を進める。
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