2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22689001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有澤 美枝子 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (50302162)
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Keywords | 平衡反応 / ロジウム触媒 / ヘテロ元素捕捉剤 / 平衡制御 / 熱力学的安定性 / 切断再配列 / 単結合 |
Research Abstract |
ロジウム触媒が様々な単結合を容易に可逆的に切断することを見出した。今回、平衡を望みの物質生成にシフトする方法として、1)段階的に中間生成物を選択し、平衡系を出発物質から移動させながら目的物に到達する平衡制御、2)ヘテロ元素捕捉剤を用いる平衡制御を検討した。 1)C-H結合を直接C-S結合に変換する触媒反応として、熱力学的安定性の近い出発物質と目的物を選択しながら、結合エネルギーの小さい高反応性化合物から順次大きい低反応性化合物の反応を検討した。その結果、α-チオケトンやベンジルケトン(pKa17-18)に加えて、本年度はアルキルケトン(pKa24)及び複素環化合物(pKa27)のC-H結合をC-S結合に平衡的に変換することに成功した。 2)平衡反応を望みの物質生成へシフトさせる方法としてヘテロ元素捕捉剤を用いる平衡制御法を検討した。ロジウム触媒を用いると、酸フッ化物C-F結合とチオエステルC-S結合間の交換反応が平衡的進行することを見出した。ここで、効率よく酸フッ化物及びチオエステルを得る目的で、平衡を制御する工夫を行った。その結果、PPh3がフッ素原子を効率よく捕捉して、酸フッ化物からチオエステルを効率よく与えることがわかった。逆反応で酸フッ化物を効率よく得るためには、フッ素化剤にヘキサフルオロベンゼンを用いて、チオ基を芳香族スルフィドとして捕捉すると効率よく酸フッ化物を与える.ことがわかった。これは、C-F/C-S結合間の平衡に注目し、用いる試薬と捕捉剤を工夫する平衡制御法である。本法を用いてチオエステルとアシルポスフィン間の平衡を制御できた。 一連の研究の過程で、C-H結合の他に、C-S,C-F,O-H,P-P結合などの単結合を切断再配列できることを示した。
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