2010 Fiscal Year Annual Research Report
新たなるリンパ球ナチュラルヘルパー細胞の寄生虫排除機構における役割
Project/Area Number |
22689013
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
茂呂 和世 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90468489)
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Keywords | ナチュラルヘルパー細胞 / 寄生虫感染 / Th2サイトカイン / IL-33 / IL-25 |
Research Abstract |
我々が脂肪組織において見出した新しいリンパ球ナチュラルヘルパー(natural helper:NH)細胞は、IL-2とIL-25の共刺激やIL-33刺激を受けることで多量のTh2サイトカインを産生する自然免疫系の細胞である。 NH細胞の報告から2か月後、NuocyteおよびMPP^<type2>と名付けられたTh2サイトカイン産生細胞が他グループから報告された。これらの細胞はどちらもIL-25によってN.b.感染時にIL-13産生を行う点でNH細胞に類似した細胞と考えられた。そこで、NH細胞、Nuocyte、MPP^<type2>細胞の相違点を明らかにするために、分化、表現型、サイトカイン反応性について検討を行った。 MPP^<type2>細胞は、ミエロイド系細胞へ分化する細胞として報告されたが、NH細胞はいかなる細胞へも分化しなかった。一方、NuocyteはNH細胞と同様、Linc-Kit^+Sca-1^+IL-7R^+IL-25R^+IL-33R^+の細胞で、今回明らかになった表現型の相違点はIL-2R発現がNH細胞では見られるがNuocyteでは見られず、NH細胞がMHCclassII陰性なのに対しNuocyteでは陽性であることのみであった。そこで、両者のサイトカイン反応性を見るために野生型マウスに対し、IL-25およびIL-33投与を行った。NH細胞の存在する腸間膜、およびNuocyteが出現すると報告されている脾臓からリンパ球を分離し、フローサイトメトリー解析を行ったところ、NH細胞はIL-33によって増殖したが、Nuocyteの出現は見られなかった。Nuocyteの存在数が少なく他のリンパ球が多いため検出が困難になっている可能性を考慮し、T細胞、B細胞を欠損するRa経2^<-/->マウスを用いて同様の実験を行ったところ、NuocyteはIL-25投与時のみ出現がみられ、IL-33投与では存在が確認されなかったことから、IL-25単独では増殖せず、IL-33によって増殖するNH細胞とは異なる細胞であるとの結論を得た。
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