2010 Fiscal Year Annual Research Report
膜ナノチューブを介した免疫ネットワークの構築原理と生体内イメージング
Project/Area Number |
22689017
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長谷 耕二 独立行政法人理化学研究所, 免疫系構築研究チーム, 上級研究員 (20359714)
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Keywords | 膜ナノチューブ / M-Sec / RalA / Exocyst complex / M細胞 |
Research Abstract |
最も発達した高次生命機能の一つである免疫系では、リンパ組織の形成、免疫応答の開始とその終結など、あらゆる局面において細胞間の情報伝達が重要な役目を果たしている。免疫担当細胞間における情報の伝達手段はこれまで複数が知られていた。代表的なものとして、サイトカイン・エキソソームの分泌や、免疫シナプスを介した細胞間接着による相互作用が挙げられる。さらに最近の研究で、離れた細胞間に細長い膜ナノチューブが形成されることで、細胞間相互作用が促進されることが報告されている。この細胞と細胞を繋ぐ細管は、膜ナノチューブ(tunneling nanotube ; TNT)と呼称され、免疫細胞における新たな情報伝達手段として大きな注目を集めている。しかし、これまでのTNTに関する報告は主として培養細胞系での現象論に留まっており、TNT形成の分子機構についてはほとんど分かっていなかった。 研究代表者は、これまでにパイエル板上皮層に点在するM細胞同士がTNT様の膜構造を介して連結していることを見出した。更にはM細胞に発現する遺伝子群のうち、Secファミリーと相同性を有する機能未知分子(M-Secと命名)がTNT形成を促進することを見出した。今年度はM-SecによるTNT形成の分子メカニズムの解明を試みた。その結果、M-SecはRal低分子量GTPaseとの相互作用によって、アクチンリモデリングを制御し膜突起を伸張させることで、TNT形成を促進することを明らかとした。更にM-Sec-RalAによる作用には下流のエフェクター分子としてExocyst複合体が重要であることも明らかとなった。
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