2011 Fiscal Year Annual Research Report
大規模分子遺伝疫学的解析による痛風発症リスクの個人差評価法及び早期予防法の開発
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22689021
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
松尾 洋孝 防衛医科大学校, 医学教育部・医学科専門課程, 講師 (00528292)
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Keywords | 分子遺伝疫学 / 予防医学 / 個人差医療 / 尿酸 / 遺伝統計学 / 個人差医療に基づく予防医学 |
Research Abstract |
1、大規模遺伝子解析に適した検体収集による研究リソースの構築:痛風症例(計1,000例)、健康診断サンプル(計5,000例)についてのゲノムサンプルの収集と臨床データの整理を実施した。 2、ABCG2の個人差の評価:痛風・高尿酸血症の症例(644例)を対象に、ABCG2の2つの機能低下型多型(Q126X,Q141K)についてタイピングを実施し評価した。この知見に基づき、痛風・高尿酸血症のこれまでの定説を覆すような新規発症機序の解明につながる成果が得られた。すなわち、これまで尿酸排泄過剰によると考えられてきた高尿酸血症の機序は、多くの場合で、腎外排泄低下(腸管からの尿酸排泄低下)が原因となっていたことが分かった。Common diseaseの1つである高尿酸血症の新規発症機序が、ABCG2遺伝子の個人差を詳しく解析することにより解明でき、高尿酸血症の診断、予防や治療を考慮していく上でも重要な知見となった。(Ichida K,Matsuo H,Takada T,et al.Nature Communications,in press.) 3、痛風の新規の主要病因遺伝子の同定:別の候補トランスポーター遺伝子を対象とした「分子機能を指標とした遺伝学的解析」については、新たな尿酸トランスポーター候補分子の解析が進行中である。さらに、23年度からは、「ゲノム支援班」活動による支援をうけて痛風のゲノムワイド関連解析を開始しており、現時点のpreliminary dataにおいても痛風の病因遺伝子について有望な結果が得られつつある。これらの成果により、本研究の目的である、1)痛風遺伝子ABCG2の変異による発症リスクの個人差評価法を確立すること、さらに、2)痛風の新規の主要病因遺伝子を同定し、これらの痛風遺伝子を活用した痛風の早期予防法を開発すること」の達成にむけて順調に研究が進展していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を推進していく過程で、痛風・高尿酸血症のこれまでの定説を覆すような新規メカニズムの解明につながる成果が得られた(IchidaK,MatsuoH,Takada T,et al.Nature Communications,in press.)。さらに、痛風に関連する遺伝子の解析についても研究が順調に進展しており、最終年度である24年度には、本目的の達成にむけて大きく進展できる状況にあると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
痛風・高尿酸血症の症例644名の解析により、同疾患の新規メカニズムの解明につながる成果が得られたため、24年度は症例対照研究をさらに進展させてさらなる新規知見の発見を目指していく。また、「ゲノム支援班」活動の支援をいただいている痛風のゲノムワイド関連解析についても24年度中に研究成果を得られるように解析を急いでいるところであり、痛風に関連する新規遺伝子の同定を目指した研究も併せて推進していく。研究を遂行する上での問題点は現時点ではない。
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Research Products
(39 results)