2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の健康格差と地域環境要因に関するマルチレベル分析
Project/Area Number |
22689022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 民 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80323608)
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Keywords | 高齢者 / 健康格差 / 近隣環境 / ソーシャル・キャピタル |
Research Abstract |
今後、後期高齢者の急増が予測され、高齢者やこれをケアする介護者への地域における健康支援のあり方の検討が重要と考えられる。本研究では、高齢者・介護者における健康度の地域間格差を明らかにし、その健康格差と彼らを取り巻く近隣地域の社会的環境との関連を明らかにすることを目的とした。 平成22年度は、1)高齢者および介護者の地域間健康格差およびその近隣環境要因との関連についての文献整理、2)高齢者を対象とした追跡調査を行った。 1)文献整理の結果、高齢者や介護者を対象に健康度と近隣の社会的環境との関連を検討した先行研究は少なく、介護者を対象とする研究は特に少なかった。日本における高齢者の地域間健康格差は近年拡大傾向の可能性があるものの、全体として高齢者の地域間健康格差の程度は大きくない可能性がわかった。ただし国内外における先行研究では、高齢者の地域間健康格差を測定する指標として、死亡、康度自己評価、抑うつ度、保健行動が主に用いられており、高次生活機能や主観的幸福感といった指標での検討は少なかった。他方、先行研究では、地域住民間の結びつきや信頼感を表すソーシャル・キャピタル(社会関係資本)、近隣地域の貧困度など社会経済的指標と高齢者の健康との関連が指摘されていた。こうした健康度と近隣環境との関連が欧米諸国とアジア諸国では異なるという先行研究もみられ、日本をはじめアジア諸国での知見の蓄積が重要であることが確認された。 2)高齢者調査は、ある都道府県内全自治体において、無作為抽出された65歳以上男女5684名を対象に調査を実施した。自治体間健康格差は全体として小さいものの、高次生活機能において最も観察され、特に75歳以上男性における格差が相対的に大きかった。第2回調査は第1回有効回答者を対象に実施された。今後、健康度と近隣環境要因との関連を検討する予定である。
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Research Products
(7 results)