2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体イメージングを駆使した破骨細胞の遊走・機能分化と骨吸収疾患の病態生理の解明
Project/Area Number |
22689030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 優 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授 (10324758)
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Keywords | 破骨細胞 / イメージング / 関節リウマチ / ケモカイン / 脂質メディエーター / 骨粗鬆症 / 細胞動態 |
Research Abstract |
破骨細胞は硬質の骨組織を融解・吸収する特殊な能力をもつ生体内で唯一の細胞種である。破骨細胞の分化・成熟・機能についてはこれまでin vitro培養系を用いて解析されてきたが、培養系は骨組織内での特殊環境とは大きく異なるため、破骨細胞の生きた骨組織内での動態(骨表面への遊走や分化・機能の制御)については全く明らかにされてこなかった。本研究代表者は最近、多光子励起顕微鏡を駆使した生体イメージングを用いて、骨組織内を非侵襲的に観察する方法論を世界に先駆けて開発し、これを用いて破骨細胞前駆細胞の遊走が、血中脂質メディエーターであるスフィンゴシン1リン酸(S1P)によって動的に制御されていることを明らかにした(Ishii et al., Nature, 2009)。本研究ではこれらの技術と予備的成果を元に破骨細胞の生きた動態を解明し、これらの異常による骨吸収疾患の病態生理を実体的に解明することを目指す。初年度である平成22年度には、S1Pによる破骨前駆細胞の遊走制御が、正(S1PR1)と負(S1PR2)の作用が相反する2つの受容体によって巧妙に調節されていることを明らかにし、この受容体バランスを調節することにより、全く新しい作用機序をもった骨吸収抑制治療へと繋がることを解明した(Ishii et al., J Exp Med,2010)。さらにマウスの骨吸収性疾患モデルを用いた治療実験により、S1Pの制御が関節リウマチなどの疾患治療に有用であることを示した(Kikuta et al., Rheum Int)。さらには、イメージング技術を活用して、破骨細胞の骨表面での分化・成熟過程の可視化や、骨吸収機能のリアルタイムイメージングに成功しつつある(一部、論文投稿準備中)。平成23年度以降は、これらの研究を引き続き進めて、骨組織内での破骨細胞動態について統合的かつ実体的な解析を行う。
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Research Products
(6 results)