2011 Fiscal Year Annual Research Report
マルチモダリティ脳MRI解析を中間表現型とした対人行動の障害のゲノム要因の同定
Project/Area Number |
22689034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山末 英典 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80436493)
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 統合失調症 / 脳画像 / 対人行動の障害 / 男女差 / マルチモダリティ脳MRI / ゲノム要因 |
Research Abstract |
2010年度に扁桃体体積との関連を論文発表した、自閉症との関連が報告されているオキシトシン受容体遺伝子多型rs2254298aが、さらに同じ健常成人208名の対象において前部帯状皮質および視床下部の灰白質体積と関連することを報告した(Yamasue et al.,Biological Psychiatry,2011)。同じSNPについて白色人種で一部共通し一部相違する結果を報告したドイツのMeyer-Lindenbergらの研究グループ(Tost et al.,Biological Psychiatry,2011)との交流に発展し、2012年度にはIACAPAPや米国神経科学会(Society for Neuroscience)で研究代表者が主催するシンポジウムでも共同することになった。 また、2010年に自閉症スペクトラム障害(ASD)当事者や慢性期の統合失調症で体積が減少していると報告した下前頭回について、さらに20名の精神病超危険群と20名の病初期の統合失調症群、およびそれぞれの健常対照20名ずつの合計80名で検討し、関係妄想などの対人的な推論や意味付けの障害に関与すると考えられる下前頭回の灰白質体積減少が、病初期や更には前駆状態の時点から存在し、しかも慢性期とは異なり下前頭回の三角部に限局していることを初めて示した(Iwashiro et al.,Schizophrenia Research,2012) 論文未発表の計画遂行状況としては、成人男性で高機能のASD当事者40名・精神病超危険群31名・統合失調症患者68名・健常男女119名について、臨床評価、心理検査、採血、DNA抽出を実施し、更に3テスラMRスキャナーにてマルチモダリティMRI撮像(高解像度MRI、MR-Spectroscopy、拡散テンソル画像、fMRI)を行った。またASD当事者40名のメチル化DNAの網羅的解析を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は平成25年度前半までに、自閉症スペクトラム障害(ASD)当事者50名、統合失調症患者50名、健常男女100名のデータ収集を計画していたが、平成23年度末の時点で、ASD当事者40名・精神病超危険群31名・統合失調症患者68名・健常男女119名の臨床指標・マルチモダリティMRI画像データ・DNAサンプルの収集を終え、1年以上早くデータ収集を達成した。それによりASD当事者40名のメチル化DNAの網羅的解析も当初の計画よりも1年程度は早く行なうことが出来た。これまでに論文発表した成果からも達成度は高いと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度からは、これまでにデータ収集を達成した上述のデータの解析を中心に研究を進める。この領域の研究の世界的な動向を踏まえて、当初計画したサンプルサイズよりも多くのデータを収集した。そのため、ゲノム解析などのデータの保管・解析に要する費用が当初の計画よりも多くかかってしまうことが見込まれている。そのため、今後のデータの保管・解析については、その一部を他の財源を併用することで対応したい。
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Research Products
(39 results)
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[Journal Article] Reply to "Neurogenetic effects of OXTR rs2254298 in the extended limbic system of healthy Caucasian adults"2011
Author(s)
Yamasue H, Suga M, Yahata N, Inoue H, Tochigi M Abe O, Liu X, Kawamura Y, Rogers MA, Takei K, Yamada H, Aoki S, Sasaki T, Kasai K
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Journal Title
Biological Psychiatry
Volume: 70
Pages: 41-42
DOI
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[Presentation] 自閉症当事者の内側前頭前野における神経科学的変化2011
Author(s)
青木悠太, 山末英典, 阿部修, 八幡憲明, 夏堀龍暢, 岩白訓周, 高野洋輔, 井上秀之, 桑原斉, 川久保友紀, 五ノ井渉, 佐々木弘喜, 村上瑞穂, 桂正樹, 新橋靖真, 高尾英正, 国松聡, 松崎秀夫, 土屋賢治, 笠井清登
Organizer
第34回日本神経科学大会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
2011-09-17
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[Presentation] 統合失調症発症前後における下前頭回の灰白質体積の変化2011
Author(s)
岩白訓周, 山末英典, 管心, 夏堀龍暢, 高野洋輔, 井上秀之, 里村嘉弘, 小池進介, 八幡憲明, 村上瑞穂, 桂正樹, 五ノ井渉, 佐々木弘喜, 高尾英正, 阿部修, 笠井清登
Organizer
第34回日本神経科学大会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
2011-09-16
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[Presentation] Genetic social neuroimaging and autism2011
Author(s)
Yamasue H
Organizer
Genetic, cellular, and cognitive approaches to und erstanding social behavior-A joint Tamagawa University-Caltech Lecture Course, The 15^<th> annual meeting of the ASSC
Place of Presentation
Kyoto, Japan(招待講演)
Year and Date
2011-06-08
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